≪四節;蔑笑≫
〔その―――・・・彼の姿を見ていたこの者たちは・・・〕
シ:なぁ〜にやっとるんかい、あの阿房男は。
ビ:――――は・・・どうやら『ラミアの泪』と、いう代物を探しているようでありまして・・・
シ:はあ゛?!なんで―――ンなモンを探してんだい。
ビ:さぁ―――・・・小人どもの考えは、とんとおよびもつきません。
ですが、どうやらこれから―――の、ことに要るようではありますが・・・。
シ:ふぅ〜〜ん・・・“女を悦ばせる秘薬”の―――(さっ)これ・・・が、ねぇ〜〜(ニヤニヤ)
ビ:・・・主上――――
シ:ンン〜〜♪ なぁ〜んだぁぁ〜い?(ニタニタ)
ビ:・・・・いえ、なにも―――
〔そう・・・ドズルが、今、血眼になって探している、あるアイテム・・・『ラミアの泪』。
これを入手すべく疾駆していたのを『なんとも滑稽な事』と、蔑視し嘲笑していた存在こそ、
あのシホとビューネイだったのです。
しかも・・・シホの手の中には、今ドズルが躍起になって求めている モノ が―――・・・・?
これにはビューネイも、『またこのお方の悪い癖が始まったか・・・』と、思うしかなかったようです。〕
シ:ねぇねぇ―――ちょいと・・・・お兄ぃさぁ〜ん♪
ド:(ドズル;24歳;男;ゴモラの守将。実は、この者の父は、ある者に斬殺された経歴がある・・・)
(ぅん?!)なんだ―――オレは今忙しいんだ。
シ:(ゴソゴソ・・・)これ、なぁ〜んだ♡(ひょいっ―――)
ド:(お・・・)――――っ!! こっ・・・これは『ラミアの泪』じゃないか!!
お―――お前・・・こ、これを一体どこで・・・・
シ:これ・・・今、お兄さん咽喉から手が出るほど欲しいんだろぉ〜?
ド:(ッ・・・く―――)い、いくらだ・・・金にいとめはつけんから、是非ともオレに譲ってくれ!!
シ:(ンククク・・・)なぁに言ってんだい―――私ら、タワーリシチ(同志)ぢゃないのよさ。
ド:は?? なんだ?その―――タワー何とか・・・ってのは・・・
シ:(ぉおっと・・・)ああ〜〜“同志”・・・って意味だよ。
――――で、どうすんの、欲しいの、欲しくないの。
ド:ほ、欲しいに決まってるだろう。
だから―――代価はいくらなんだ。
シ:いいよぉ〜〜? タダで・・・ねぇ。(ニヤリ)
〔シホは、今、時分が持っている、ドズルがどんな事をしても手に入れたがっている品物を、ドズルの前に出しました・・・。
けれども、そのやり様が、余りにももったいぶっていたので、ドズルは相当苛立っていたようです。
でも―――そういった、欲しいモノを目の前に苛立つ・・・と、言ったことが、滑稽なことを知っていたがため、あえてそうしている・・・
シホのこういう性格を知っていたがゆえに、ビューネイも『悪い癖が・・・』と、思っていたのです。
そして―――欲しいモノも入手し終わると、ドズルは挨拶らしいう挨拶、礼らしい礼のないまま・・・
コキュートスを後にしたのでした。
それを、失意のそれではなく、蔑視の眼差しで見送る両名は・・・〕
ビ:・・・よろしかったのですか―――
あれは、こちら側では、相当に高価なモノの様ではありますが・・・
それを“無償”(タダ)で・・・とは―――
シ:ああ、いいんだよ。
それに―――よく言うだろう〜♪
『タダより高いものはない』
―――ってねぇ〜♪
ビ:(ピク)・・・と、いうことは―――
シ:(フフン―――・・・)つまり―――だね。
“あれ”の代価に見合うだけのモノ・・・もうすでに領収済み―――ってことになっているのさ。
ビ:主上・・・それはもしやすると―――
シ:そういうこと・・・『代金後払い』にはなるけど―――
“未来”において、きっちりとあいつの『命』で支払う事になってるのさ。
〔そう―――・・・それは、どういう由縁であるにしろ、“こちら側”では、『ラミアの泪』という代物は、大変高価である・・・と、いうこと。
それを、わざと―――『無料・無償』・・・つまり タダ であるという事は・・・
『タダより高いモノはない』―――その言葉通り、“高い代償”につながっていく・・・
そう―――未来において、ドズル自身の命で支払われる・・・と、いうことに。
とどのつまり―――シホはそのことが分かっていた。
いかなる理由であれ、ドズルが近しい将来に、この世からいなくなることを予見していたがために、
その高価なモノを、惜しげもなく彼に譲り渡したのです。〕