≪二節;『魔皇』その知られざる行方―――・・・≫
ビ:(フ・・・)しかし―――さすがでございます、ガラティア様・・・。
よもや、あなた様の持ち物で、かの空間と同じき物を、創造(つく)っておしまいになるとは・・・。
シ:(フフ―――フフフ・・・)そこは―――別に褒めるところじゃあ〜ないだろう、ベェンダー。
第一、
あそこに永い間いてしまえば、イヤでもあそこの特性をつかめるというものさ・・・。
それにね―――・・・本当の“あそこ”は、私が創造(つく)り出したものよりも、恐ろしいもんだよ・・・。
そうさねぇ・・・そのままのデータを引っ張り出して創造り出してしまったのなら、
こんなちっぽけな城なんざもとより、この大陸―――いや・・・この美しき『蒼き天体』を中心に、
周囲(まわ)りの惑星達(ほしぼしたち)を巻き込んで―――・・・
ビ:寂寥たる、闇が拡がるのみ―――ですか・・・
シ:そぉゆうこと〜♪(ニィ)
〔それは―――例え・・・“その空間”のデータを、百万分の一に圧縮したとて、
地上に介在している者達を、須らく呑み込んでしまえるほどの能力(チカラ)を有している・・・と、いうこと。
では―――『次元の狭間』を、“そのまま”創造り出してしまったのなら・・・?!
それは説明しないほうが利といったところでしょうか―――
それにしても、どうしてこの二人は、今になってここに来ているのでしょうか。
それは―――〕
ビ:・・・・それはそうと―――“あの男”は、一体どこにいるので?
シ:(フフフッ―――)・・・・気が、つかないかい―――、お前の、すぐそばだよ。
ビ:(ぅん?)
ぅ――――おっ??!
〔それは―――この空間にいるという、“ある男”に会いに・・・
しかし、その“ある男”とは、この国の・・・カ・ルマ事実上の総帥で在り、
彼の噂が確かなら―――現在より7万年前・・・伝説上の『皇』である 女禍 の勢力に抵抗した唯一の存在・・・
『魔皇』であるという―――サウロン=カルマ=アドラレメク・・・。
ですが―――今、ここにいるという存在が『魔皇』サウロンだとすれば・・・
この地上に同じくして存在し、コキュートスの玉座を占めている サウロン は・・・??
いや―――それよりも・・・あの、伝説上の“皇”に抗ってきたのだから、
彼の能力値は、総てにおいて他を圧倒しているはず・・・なのですが―――
丁度ここにいるという“存在”は、ビューネイのすぐそばにいたというのに、
なぜかしら、彼もシホに指摘されるまで気がつかなかった――――
言い換えるならば・・・その“存在”―――『魔皇』サウロンは、そんなになるまで、存在の意義というのが薄まっていたのです。
そして―――ビューネイも、よく目を凝らして見ると・・・
闇に捉われながら、その存在が、確実に薄まりつつある―――あの“漆黒の鎧”をはがされた『魔皇』が・・・・〕
シ:(ンフフフ―――・・・)どうだい、驚いただろう・・・。
こんなにちっぽけで、痩せぎすなヤツが・・・かつてお前達が崇拝していた男の、真の姿―――なんだよ。
ビューネイ=クリード=サルガタナス・・・・。(ニィィ・・・)
ビ:――――・・・・・。(フッ)
ガラティア様―――どうやらその存在・・・完全に復活を諦めたようです。
シ:(フフフ―――ククク・・・)あんたも―――人の悪さに関しちゃ、相当なもんだよ・・・ベェンダー。
ビ:いえいえ・・・これも、あなた様の妹君に、塗炭の苦しみを味わわせた者達へ・・・の、
最期の手向けの華―――で、ございますよ。
〔シホ―――いや、ガラティアは・・・かつて、その存在が、盟主と仰いでいた者が、どんな者であったのか―――と、
もし、自分が復活を成し遂げても、盟主より上位の者がいることを知らせ・・・
静かに―――しかも、確実に・・・彼らの野望が潰えた事を悟らせたのです。
そう・・・この、確かな闇に捉われたら最期だ―――と、いうことを、否が応でも分からせるために、
ガラティアとベェンダーは、この場所に足を運ばせ・・・
そして、ベェンダーに、存在そのものを呑み込まれながらも、隙あらば存在の意義を取り戻し、
魔皇の片腕として返り咲こう・・・と、していたビューネイ本人の、
その蜘蛛の糸ほどに細かになった“希望の糸”を――― ぶつり と切ったのです。〕