≪三節;お手並みの拝見―――≫
〔それには、まづ・・・自分の知っている“あるやり方”を、民の、誰でもいい・・・一人に知ってもらい、
それを広める事で、灌漑用水が出来上がるまでの“ツナギ”と、しておくこと・・・。
しかし――――アヱカ・・・いや、女禍様の知るという、“あるやり方”とは・・・?
そのやり方を、<口頭>ではなく、まづ自ら実践をして見せる州公様が・・・〕
ガッ―――☆ ザック・・・ ザック―――・・・
ア:ぃよい―――しょッ・・・と。(ふぅ・・・)
こういう風に―――土を耕したあと、この上に直に種苗を蒔く・・・
そして、その後は、必要最低限の肥料と水を与えてあげるといい―――・・・
民:・・・・はあ?
たった―――・・・たったこれだけ? 雑草取りとか・・・は??
ア:(フフっ―――)このままで、いい―――・・・
それにね、このやり方は、昔―――確立されたものなんだ。
植物というものはね・・・私たち人間が考えているほどやわじゃあないよ。
生き存(ながら)えられる、最低限の環境さえ整ってやっていれば、この者達は逞(たくま)しく活きてくれる・・・
逆に『温室育ち』で生きている者達には、さすがにこのやり方では無理だけれどね。
それに―――・・・見比べた事があるかなぁ・・・
私たち人間が、手塩にかけて育ててきた者達と―――自然にて自活している者達・・・と、を。
“自然に活きる”―――と、いうことは、そんなに生易しいものじゃあない・・・。
やもすれば手厳しいことだって教えてくれる―――それを・・・
そんな環境の中で生き抜いてきた者達の、なんと逞しく美しいことだろうか。
私たちは、そんな自然に対し、畏敬と感謝の念を込めて・・・頂かなければ、ならないんだね・・・。
〔それは―――・・・永年、土と・・・いや、“自然と共存してきた者”ならではの言葉であり、“教え”でした。
そのことに、半生を農耕に費やしてきた者は、自分よりも若く美しいこの女性が、
自分たちの住んでいる、ガク州の統政官であることに、大いなる安心感を得るとともに、
その博学と見識の確かさに、舌を巻いていたものだったのです。〕