≪八節;“初対面”・・・・の、はず≫
〔彼らも・・・その当初は、自らが望んでそこにいるわけではなく、寧ろ味方の目を欺いて存在していることなので、
居心地などが宜しくないのが当たり前―――
ですが、そこは堪え難きを堪えなくてはならないのです。
―――と、そこへ・・・その部屋の扉が開かれ、中に入ってきた者が・・・
しかもその姿は、この国の者であることを、よく象徴としている・・・『黒い導衣』をその身に纏い、
顔の大半を薄い黒布で覆った、灰褐色の髪をした女性・・・。〕
シ:ようこそ―――コキュートスへ・・・(にぃ)
ヒ:(気味の悪い者だなぁ―――・・・)
ギ:・・・そなたは―――
シ:んん〜〜? 私―――かい。
そうさねぇ〜〜・・・私ゃ、さしづめあんた等の“案内人”―――ってとこかねぇ。
カ:ほぉ〜う・・・“案内人”―――と、いうことは、私らの唯一の味方でもある・・・
そう捉えてもよいのかな?
シ:そういう―――ことになるかねぇ・・・
カイン=ステラ=ティンジェル
殿・・・。(ニヤリ)
カ:・・・・私―――の、紹介は・・・・まだ、のはずだが?
ヒ:(ピク―――)
シ:・・・・ンフフフ――――
そう・・・構えなくてもいいんだよ――――
ギャラハット=シャー=ザンフィル
―――の、養女(むすめ)・・・
ヒヅメ=ヤトー=キュベレイ
ちゃん・・・。(ニィィ・・・)
ヒ:な―――――??!
ギ:・・・確か、ワシらは初対面のはずだが?
シ:ああ〜〜・・・確かにそうだよ、ナイス・ミドル。
私の名は―――シホ=アーキ=ガラティーナ・・・気安く『シホちゃん♡』なァ〜んて、呼んでくれてもかまわないよぉ〜♡
〔しかし―――カイン・ギャラハット・ヒヅメの三人とも、シホの事を奇妙に感じたのは、
この女性が、自分たちとは初対面であるはずなのに、まるで事前に調査をしていたかのごとくに、彼らの名を口にしたこと・・・
(ちなみに・・・彼ら三人は、カ・ルマのコキュートスに来ても、そこにいる者達とは会話すらしていない・・・)〕