<第三十八章;大した怠け者>
≪一節;ふざけた就業態度≫
〔州公―――アヱカが、幼王子の太傅となった事で、治領への滞在が難しくなった現在。
彼女の代理として赴任をしてきた者が、新たにアヱカの左腕となり、州丞ともなったタケルなのでした。
しかし―――彼の就業態度といえば・・・〕
タ:zzZ――――・・・Zzz・・・
官:あの〜〜―――州丞様、民からの陳情が・・・
タ:う・・・うぅ〜ん・・・(ゴロリ) zzz〜〜―――ZZZ〜〜〜―――
官:(ぅむ・・・ぐぅっ!)
官:(こやつ―――鳴り物入りで州丞に抜擢されたと思えば―――
日がな寝てばかりおるし、剰えには、ヒマさえ見つけては酒ばかり―――!!)
官:(しかし・・・なぜに州公様ともあろうお方が、このような怠け者を配下なんぞに??)
〔今―――州官の一人が、民からの陳情を、州公に成り代わり聞くように・・・と、タケルに言ったのですが、
見ての通り、彼は今は昼寝の最中―――しかも、州官達の弁が確かなら、彼はアヱカの期待を大いに裏切っている事に。
しかも―――間の悪いことには・・・〕
ヒ:おぉ〜〜ぅい、州公殿はいるかい―――?!
キ:いるわけないでしょ―――あの方は、フ国の次代を担うお方の養育係として、今は王都にいるのだから・・・
ヒ:おぉ―――っと、そうだったな・・・。
あれ?じゃあ―――誰、呼ぶんだっけ??
キ:(これだもの・・・)確か―――アヱカ様が、その足をして五度もその庵を訪ねさせた“清流の君”よ!!
〔このときガク州城を訪れたのは、州司馬のキリエと、彼女の副将であるヒ―――・・・
でも、その前に、キリエはタケルの事を痛烈に皮肉っていたわけなのですが、それはどうして・・・?
それは―――彼の就業態度にも表れていたように、
日が日がな寝そべってばかりだし、起きているところを見れば、ただ酒をあおっているだけ―――
しかも、その姿をくらませる事はしょっちゅうで、気付けば自分たちの目に届くところにいるという・・・
いわば、“川の静かな流れ”と、言ったような・・・
だから、州の官達は、皆がこぞって彼の事を“清流の君”と呼んで、揶揄していたのです。〕