≪六節:慧眼の先に捉えていたもの―――≫
〔訴えが須らく決済され、これから何をするものか―――と、思っていた矢先に・・・
タケルの口からはこんな事が―――〕
タ:それより―――州兵を預かるお二方が、ここに来た理由・・・
もうよろしいのではないですかな―――
ヒ:あっ―――と・・・そうだった、すっかり忘れてたぜ。
キ:(この漢―――私の器では計り知れない・・・)
実は―――現在私たちが詰めている前線のかなたに、カ・ルマが新しく砦を構築していると・・・
タ:――――成る程。
我が方の前線から、程よく見える地点・・・つまり、これ見よがしに敵方の砦が出来つつある―――と・・・
しかも、あなた方のその慌てぶり・・・いよいよ切羽詰ってきた―――と、いうところですかな。
ヒ:(えっ・・・)するっ―――てぇと・・・あんたは、この事を知ってたのかぁ??
キ:―――バカな??
あなたは・・・日がな寝そべってばかりで、起きている時といったらお酒を―――(はっ!)
いや・・・待ってよ―――? 確か――その他に―――・・・姿をくらませていることがある・・・って―――
ヒ:あんだってぇ〜〜―――?
タ:(ふ・ふ―――)あなた方も、そこのところが不審だとするなら―――
これから少し、ワシに付き合っていただきましようか・・・。
〔彼は―――確かに“怠け”ていました。
それは、どの方向から見ても、そう捉えられていたように―――・・・
けれども、そうしているのは、彼自身が 真の怠け者 というのではなく・・・
いうなれば、じっと腰を据えて、情勢が動くのを見計らっていた―――・・・と、いうそれだったのです。
ゆえに―――このときも、自らの手足である諜報集団を使い、確かな情報を仕入れ、
刻一刻と変化する状況に対処していたのです。
ですが―――前線を張っているところの将校二人が、本陣ともいえるガク州城まで来たという事は、
今までよりも状況が逼迫している事の現れ・・・
だから―――タケルは、机上に山積みとされている些事を解決し、
自らの存亡がかかっている大事にと、取り組もうとしていたのです。〕