<第三十九章;欺 瞞>
≪一節;人の“影”≫
〔彼女達は―――・・・いわば“人の影”そのもの・・・。
その実体や存在さえも知られることなく、味方を勝利へと導く者―――と、いった意味合いでは、
往時よりこの大陸に根付いている『忍』とは同義のようにも思えるのです。
―――が、その者達と区別して捉えるのならば、彼女達『禽』は、皆何かしらのスキルを備えていたこと・・・
シズネの『八卦』
ルリの『投影』
レイカの『樹との対話』
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以上を見てのように、彼女達は、この土地土着の者達を、遥かに凌駕していたのです。
そして―――今、『禽』たちは、主の命により、各々が任地に散っていったのです。〕
ヒ:しっかしよぅ―――大丈夫なんだい? 実際・・・
キ:けれども、彼女達に頼らざるを得なくなっている現状としては、仕方のないことよね―――
ヒ:〜〜〜―――・・・で?これからどうすんだろね。
タ:・・・するように―――判っているな。
シ:かしこまりました―――では、お先に・・・
〜――ヒュン――〜
レ:お先に―――・・・
〜――ヒュン――〜
ヒ:(・・・って)おっ―――おいっ?? い、今の・・・あの二人・・・・
キ:消えちゃったわねぇ―――・・・
ヒ:“消えちゃったわねぇ”・・・って、を゛いっ!!
今のあの消え方は、ど〜〜う見ても不自然だろがよ゛??!
キ:そんなに・・・騒ぎ立てる事じゃないんじゃないの―――
今、私たちが注目しなければならない点は、寧ろこちらのほうだわ―――・・・
〔主命を帯びた『禽』たちが、各任地へと散らばって行ったあと―――
その場に残っていたのは、いかにも線の細く嫋(たおや)かな者、=白雉=のシズネと、後ろの髪留めが印象的な=鳳=のレイカの二人でした。
そうだから―――なのか、ヒも“こんな二人で大丈夫なんだろうか?”と、気をもむのですが・・・
次に彼女たちの方を向いたとき、新たな下知を胸に、まるで掻き消えるかのように―――・・・
おそらく今回の戦場となる場所へと、一瞬にして移動してしまったのを見て、目を見張ってしまったヒがいたのです。
しかし、以外にもキリエは素っ気のないもので、こんな 非常識 とも取れることを一切気にもせず、
ただ戦場の青写真を描いていたのは、さすが―――とでもいうのでしょうか。〕