≪四節;懇願≫
〔それは・・・今回の闘いで負った傷が傷(いた)み出したから―――なのか・・・
それとも他の何かしらの事由によって―――なのか・・・
ですが―――それは紛れもなく、“後者”の方だったということ・・・。
それから少しばかりの時間が経ち、ようやく冷静さを取り戻したキリエから―――〕
キ:実は―――今回投入されたと思われるあの魔物の引き受け役を、私がかって出たんです。
ですが―――・・・近くの林で、その魔物によって私の乗っていた馬を潰され・・・
そこで私は―――相手の二撃目に備えるべく、全神経を張り巡らせて、その魔物を待ったのです・・・
そうしたら―――ベイガン・・・虎鬚殿が来て―――・・・
タ:・・・それから―――?
キ:ううっ・・・うぅぅ〜〜―――(ポロポロ)
あの時―――私が・・・ヤツを早めに葬り去っていれば・・・そうすれば、あの存在に―――!!
タ:(ピク―――)あの―――・・・“存在”に?
キ:・・・以前より、その目撃例が確認されている者―――“蒼龍の騎士”の事です・・・。
そいつが出てきさえしなければ、こんなことには―――・・・(ポロポロ)
タ:(“蒼龍の騎士”・・・何かで見たことがあるような―――)
それで・・・その“蒼龍の騎士”某が―――?
キ:・・・申し訳ありません―――私がお話しできるのはそこまでです・・・。
タ:――――・・・・そうですか、総てをお聞かせ願いいられないのは残念ですが・・・
今のあなたの、その状態では無理と言うものでしょう・・・。
ワシも敢えてそこまでは―――とは申しません。
キ:・・・すみません。
―――それから、どうかこのことは主上には・・・
タ:いえ―――そういうことにはまかりなりません、賞罰の理を曲げるという事は軍規にも背く事になります。
ですが―――ワシがこのことを話したとて、おそらくあなたの降格はありえない・・・
これまで通り、あなたには州司馬を務めてもらうことになるでしょう。
―――それでは・・・
〔自分が囮役をかって出―――その魔物と対一で向かい合うことになった・・・
その最中(さなか)に、ヒが割って入ることとなり、そこから――――・・・
どうやらそこから、タケルでさえその存在は不確定であり、昔何かの書で見かけたことだけはある存在―――“蒼龍の騎士”・・・
その者の出現により、どうやら両者の中は険悪になった・・・と、いうことが判ったのです。
ですが、そのあとで、キリエの口からは、このことは主であるアヱカの耳には入ってもらいたくないらしく、
タケルにそのことを宜しく言おうと思ったのですが、タケルからは―――軍規に背く―――その一言だけで斬り棄てられてしまったのです。〕