≪三節;同情心≫

 

 

〔しかし・・・この議事の進行を、視聴する形で来ていたこの二人は・・・〕

 

 

ギ:なあ―――ミルディン・・・

ミ:――――・・・。

 

ギ:この国は・・・一体なんなのだ??

ミ:――――・・・。

 

ギ:この国の領土の一部を失ったとはいえ、アレはあの三人が退き上げた後だった―――と、言うじゃないか。

  なのに、この戦で最も勲功があった者達を糾弾するとは・・・

 

ミ:・・・確かに―――それは妥当ではないと思います。

  ですが・・・他国で、しかも敗軍の将である私たちが口を吐くというのも、倫理に背く話し・・・

 

ギ:ううむ―――そうはいうがなぁ・・・しかし〜〜―――

ミ:今はよしましょう、ギルダス―――・・・

 

 

〔この二人は、正確に言うと、ハイネス・ブルグの将校ではありませんでした。

ではどこの――――?

それは・・・この度滅亡した、クー・ナ出身の ミルディン=ペィター=チャーチル と ギルダス=ヴィンゲーツ=サッチャー。

 

そんな―――そんな他国出身の彼らでさえ、今の議事は不当なものであると感じていたのです。

 

でも・・・今、自分たちは、軍も敗れ、国も失った“敗軍の将”・・・で、あるため、

理由の如何がどうであれ、他国の事情には口は挟まれない―――と、していたのです。

 

 

それでも、さすがに気の毒に思ったのか、彼女達三人の後を追ったミルディンとギルダスの二人は―――・・・〕

 

 

ギ:お三方―――・・・

 

リ:あっ・・・ミルディンさんに、ギルダスさん・・・

  ちょっとみっともないところをみせちゃったね。

 

ミ:いえ・・・あなた方は実によくやりました。

  寧ろ賞賛するに値しますよ。

 

セ:けれど―――敗れてちゃ意味がないわ・・・

イ:――――・・・。

 

 

ギ:そこで―――だ、オレ達も恥を忍んでいうのだが・・・

セ:はあ―――・・・

 

ミ:次からの戦闘には、私たちも加わっていいものか―――と・・・

 

リ:あなたたちが―――?

 

ギ:無論―――敗軍の将が軍(いくさ)を語るなど、滑稽に過ぎること・・・

  だが、今日のを見て、どうにも気分が収まりきれないんだ。

 

セ:そ―――それは助かります! 私たちのほうでも・・・次回をどうしようか―――と・・・

  最悪、私たちが頭を下げて、あなたたちにお願いをしようかと思っていましたのに・・・

 

ミ:ほう―――それはよかった、ではお許し願えるのですね。

リ:うんっ―――当然。

  私のほうからもお願いするわね。

 

ギ:こちらこそ―――(ニッ)

 

 

〔そこには―――同じ傷の舐め合いをするものではなく、失われた三脚のうちの一脚の代用を、しかも二つもの脚でするという、

いうなれば、協力体制が整えられたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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