≪四節;咽喉まで出掛かっている事≫
〔ですが、そのことは彼らなりにも理解しえていたことだったのです。
なぜならば、それまでが自分たちも“そう”だったから―――・・・
だから、彼女達の言い分も瞬時にして理解できた・・・
でも―――反面、こうも思っていたのです。
―――このままでは、彼女達はダメになってしまう―――
――と・・・。
だから―――だったのかもしれません。
彼ら二人が、“そういう”行動に出た―――と、いうのも・・・
あれから―――・・・二・三日経った、ある日のこと・・・〕
イ:(悪いことを―――・・・申し訳のないことを言ってしまったわ・・・
けれども、私たちは所詮ハイネスの将校・・・今、苦境に立たされている故国を見捨てて―――と、いうわけには・・・)
セ:――――イセリア・・・
イ:―――セシル・・・。
あのお二人は、どうされているのです。
セ:・・・二人とも、口をつぐんだままよ。(ギュ)
イ:―――そう・・・。
セ:―――ねえ、イセリア・・・・
イ:ダメよ、セシル、そこからの言葉を口に出しては。
セ:で―――でも・・・哀しすぎるわよこんなこと!悔しすぎるわよ・・・!!
あんなにも私たちの事を判ってくれる人たちに、どうして・・・あんな態度でしか返せなかった自分が!!
〔その場では――― 一言も返さなかった・・・いえ、返すことの出来なかった――――
それがセシルの本心だったのは、言うまでもなかったことでしょう。
けれど、その言葉を口にしたとたん、自分は『叛乱の志のある者』と、取られざるを得ないこと・・・
それであるがゆえに、今ではこの “花”の宿将 という称号が、どこか枷にも似た、重々しいモノに感じてしまっていたのは、
否めなかった事だったのです。〕