≪五節;密会≫
〔その一方で―――リリアは・・・
元クー・ナの敗残の将の一人であるミルディンが、何者かと密会をしていたのを目撃してしまっていたのです。〕
リ:(――――あら? あれは・・・ミルディンさん?
一体・・・こんなところで、誰と会っているんだろう―――)
―――よし、もう少し近付いて・・・・
〜――ガ・サ――〜
ミ:―――!! 何者です!出てきなさい!
リ:(しまった―――)
ミ:・・・・出てこないというのなら仕方がありません。
私の剣―――『丙子椒林剣』(へいししょうりんけん)の斬れ味、その身で確かめてもらう事にしましょう・・・
リ:(ま―――まづい・・・)
〜―――ガサ ガサガサガサササ・・・―――〜
ミ:そこですか―――!!
――斬ッ――
リ:――――!!!
ミ:(はっ!)あなたは―――・・・
ガッ―――☆
リ:うぅッ―――(ドサ☆)
〔自分の国に身を寄せている形となっている客将が、自身の剣を佩いて何者かと会っているという―――・・・
そのことを怪しんだリリアは、好奇心も手伝ってか、聞き耳を立てることにしました。
けれども、余り慣れないことなので、“物音を立てずに”というわけにはいかず・・・
だからミルディンに気配を察知され、彼の佩剣を抜かせる事となってしまうのですが―――・・・
ミルディンのほうでも、何者かのいる植え込みを払ったときに見てしまった顔に―――図らずも躊躇してしまった・・・
けれども、リリアの背後に廻っていた何者かの当身によって、リリアは気を失う事となってしまったのです。
では―――リリアが気を失った直後・・・ミルディンと密会をしていた者と、彼とのやり取りを・・・・〕
鵺:・・・不手際ですね―――そちらの・・・
ミ:申し訳ない・・・
鵺:いかが―――なされます。
私としても、現時点でこの顔を見られることは好ましくはないですけれど・・・
ミ:―――いや、それでも我々は決行する。
では、そちらのほうでも受け入れ態勢を・・・
鵺:(フ・・・ッ)かしこまりました。
〔そう―――彼・・・ミルディンが密会をしていたものこそ、『禽』の=鵺=。
ですが、どうしてタケル配下のこの人物がこの地に?!
それもどうやら、それこそがミルディンが密会をしていた理由でもあったのです。〕