≪七節;状況の開始―――@“花”を確保せよ≫
〔そして―――ミルディンとギルダスは、予定の行動に・・・
ミルディンはセシルの宿宅に、ギルダスはイセリアの宿宅に―――それぞれが向かったのです。
一方で―――セシルは・・・〕
セ:はあ〜〜・・・。
(ミルディンさんやギルダスさんの気持ちもありがたい―――
けれど、私たちは“飼い犬”も同然・・・こんなとき、兄さん―――あなただったらどうされるんですか??)
〔客将からの助け舟を無下にも断ってしまったことで、一縷の残悔の念が残ってしまっているセシル。
その彼女は、今はその場にはいない自分の兄の影に向かって、返ってもこない返事を期待していたのです。
すると―――・・・〕
―――ドンドンドン―――
セ:(あ・・・)はぁ―――い。
(誰なのかしら・・・こんな夜分に―――)
(ガチャ☆)はい―――どなた・・・あ・・・ミルディンさん―――
ミ:―――すまない・・・セシル殿。
セ:えっ―――?
ズ ☆ ド―――・・・
セ:う・・・(ガク)
ミ:(申し訳ない・・・だが、あなたたちはこんな処にいれば、いづれはダメになってしまう。
ならばいっそのこと―――我々と一緒に・・・)
よし―――・・・彼女の鎧・剣一式を運び終えろ!!
〔こんな時間になっても訪ねにくる者もいるものだ・・・そう思い、セシルは戸口まで出てみました。
すると、そこに立っていたのは、北方の―――クー・ナの騎士団の出身者である事を示す、
白を基調とした鎧・・・<ホワイトナイツ>―――その出で立ちをしたミルディンがいたのです。
そしてやにわに―――“すまない”・・・と、たった一言だけ言い残し、
彼は自分の剣の柄頭で、彼女の鳩尾(みぞおち)を的確に捉え―――彼女の気を失わせたところで、
自分の配下・・・と、宜しく説得したセシル配下の兵たちの力を借り、彼女の鎧一式などを荷馬車に運び終えたのでした。〕