≪二節;各国の動静―――“サ・ライ”≫

 

 

〔こうして―――対外政策の方針が決まり、早速のうちに軍事行動を起こしたヴェルノア公国・・・

 

しかし―――他の“列強”は、かの国のこの行動を、どう捉えていたのでしょうか・・・

 

まづは、『宗教国家』としても名高いサ・ライでは――――・・・〕

 

 

ネ:(ネイ=サラスバティ=オズボーン;以前に出たことのある、この国の司祭の一人。)

  な・・・なんと―――あのカ・ルマだけでなく、ヴェルノアまでもついに暴挙を起こすとは・・・

 

ヨ:(ヨブ=シオ=ガブリエル;3582歳;?;この国の“枢機卿”の一人。)

  いえ―――・・・かの国は以前より『軍事大国』として知られていたのです。

  寧ろ、今までそういった行動を起こさなかった事の方が、不気味ではありましたが・・・

 

イ:(イザヤ=ペタ=ラファエル;3265歳;?;ヨブ同様に、枢機卿の一人。)

  ふぅむ―――・・・しかも、かの国はわが国家と近隣でもある。

  これを機に、攻め込んでこなければいいのですが―――・・・

 

ネ:ここはひとつ・・・戒めを破る覚悟で、防衛を主幹とする組織を作ってはいかがか・・・?

イ:しかし―――それでは“非暴力”を幹としている『マハ・トマ』の主義に反する事なのでは・・・・

ヨ:だからこそ―――“破戒”をするというのでありましょう。

 

〜――わいわい・がやがや――〜

 

〔やはり―――“非暴力”を、その御旗に掲げている、この国に於いても、

この・・・ヴェルノアの 軍事行動 は、大きな波紋を呼んでいるようです。

 

それに・・・イロイロな議論・意見が交換されつつも、何一つ決定的なものが出ないまま、時間だけが過ぎ行き・・・・

 

すると―――ここで、今までその場にはいたものの、意見は出さず・・・かといって、日和見を決め込んだわけではない、

静観をしていた人物が・・・・〕

 

 

ゴ:(ゴウガシャ=ジグ=ミハエル;4777歳;?;教主・ナユタに次ぐ長命のこの者こそ、この国の大司教<マルシェビキコプス>。)

  ――――やはり・・・ここは一つ、教皇様の裁定を仰ぐと致しましょう。

 

ヨ:おお―――それは良い考え。

イ:そうだ・・・未来を見通せる、あの方のお能力(ちから)なら・・・!!

 

 

〔その者は―――この国の、事実上の政治的権威である『教皇・ナユタ』に次ぐ長命であり、実力者。

大司教<マルシェビキコプス>である、ゴウガシャなのでした。

 

そして、この者は、不毛な議論を交わしている枢機卿連中に対し、ある決定的な一言・・・・

それも、今までにこの国が、そうしてきたように―――教皇に、総てを委ねようとしたのです。

 

 

それに―――それはあることの裏返し、つまり 教皇・ナユタ が、この国での“絶対的権威”を誇っているという事。

 

そして、それに応えるように、ナユタは―――・・・〕

 

 

ナ:成る程・・・それで皆して私の下に集(つど)ってきた―――と、云うことですか・・・・

 

  判りました―――・・・では、私の『千の眼』で、鑑てみることに致しましょう・・・。

 

 

〔ナユタは、その絶大なる能力(ちから)・・・『千の眼』で、未来をも見通せる能力を保有していました。

 

そして―――今回も、臣下たちがこぞって自分の下に集まったのを、“そういうこと”だからと思い、

鑑てみたならば―――・・・〕

 

 

ナ:――――“見えない”・・・“真の闇”・・・“それでも光り輝く明星”・・・“それらに集(つど)いゆく数多の力”・・・・。

 

  今の私では・・・・、見えるのはこれだけです。

 

ヨ:(・・・は?)いえ―――そうではなくて・・・今後ヴェルノアがどう出るのか―――と、

  我等の歩むべき道を、指し示していただきたいのです。

イ:そうですとも―――それに、そもそも『見えない』とか、『真の闇』だとか・・・・

  それは カ・ルマ のことなのでしよう。

ネ:ですが――――・・・『光り輝く明星』と、あるのは・・・?

 

ゴ:・・・・おそらくは『女禍の魂の持ち主』・・・。

 

ヨ:ですが―――しかし・・・それは14年前に、ラー・ジャで亡くなったとされる・・・

 

ゴ:果たしてどうでしょう――――

  卿らは、その方が亡くなりおおせたとき、その魂までもが消失した―――と、でも?

 

イ:すると―――大司教猊下は心当たりが・・・?

 

ゴ:ない―――ワケではありません・・・。

  卿らも、ここ最近で、そのお噂は耳にしたことがあるはず・・・。

 

ネ:(ここ最近―――・・・)(はっ!!)もしや―――中華の国で、永らくの間民たちから搾取してきたとされる、あの州の―――??

 

ゴ:そう―――・・・前州牧ゼンに成り代わり、新たに州公としてガク州を統治しているという アヱカ という名の人物のことです。

  しかも、その遣り様に関しても、古き皇の手法に倣うところが多い―――とか・・・

 

イ:(古き・・・皇??)も―――もしや・・・“女禍”の??!

ヨ:だとすると・・・その者が真の『女禍の魂の持ち主』なのでは。

 

ゴ:―――で、あるかも知れません、ですがそのことを本人が自覚・・・或いはその告白を持ってなされない事には、

  私たちのしていることは、憶測の域を超えるものではありません。

 

 

〔ナユタの鑑た未来―――とは・・・遠からずとも近からじ――――

しかし、ヴェルノアの今回の行動については、何一つ触れはしなかったのです。

 

ですが―――この国でも取り沙汰されたガク州の変わりように、もしかするとアヱカこそが真の『女禍の魂の持ち主』なのでは・・・

と、一目置かれるようになったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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