≪三節;各国の動静―――“ラー・ジャ”≫
〔ところ変わって――――“西方の雄”として知られるラー・ジャでは、
今まさにそのことについての討議がなされている最中でした。〕
ノ:(ノブシゲ;ラー・ジャの重臣であり、タケルとは親友の仲。)
チカラ―――聞いたか、あの軍事大国がついに動き出したようだぞ。
チ:(チカラ;ラー・ジャの重臣であり、タケルの実弟。)
なんとも・・・この時期に思い切ったことをする――――
ギ:(ギケイ=判官九郎=ゲンシー;20歳;男;ラー・ジャの要職『大目付』を司る。
ノブシゲ・チカラと並ぶ、“評定衆”の一人。)
また頭痛のタネが一つ―――・・・ですか。
世を騒がせて、一体なんの得となるのやら・・・。
ノ:全くだ――――こちらは、すぐ頭上のカ・ルマの事に、気をもんでいなければならんというのに・・・
チ:しかし―――軍事大国といわれながらも、今まで出師を立てなかったところが不気味ではありましたが・・・
それが、今になってどうして――――
ノ:その事に関してだが―――・・・=鵺=。
鵺:こちらに―――
チ:(ユミエさん??)どうしてあなたがここに・・・・
鵺:我等『禽』一同―――主命のままに動いておりまする。
そして、私が今ここにいるのも・・・
ノ:“あいつ”の差し金か・・・(フフフ・・・) こいつは一本取られたな。
―――ま、この 貸し は、ありがたく頂戴しておく・・・と、言っておいてくれたまえ。
鵺:承知いたしました―――
ノ:それで・・・真相は――――
〔ラー・ジャの王都であるワ・コウの城の一室にて、“評定衆”と呼ばれた三人が、
この度のヴェルノアの軍事行動に、憂悶としていたのでした。
しかし―――このことを以前より察知していた、この国の“元”<老中>であり、
この=鵺=を含む『禽』の主である者は、すぐに彼女たちを動かせており、
素早く情報の収集を行っていたのでした。
そしてこのことは、自分の背後にて、憂悶とするしかないであろう、元・同僚たちに伝えるべく、
=鵺=によってなされていたのです。
それから―――〕
ギ:うぅむ・・・やはり手痛いことです。
あの方が抜けられてしまった穴というのは―――
ノ:確かに・・・な。
だが、あいつを向かいいれるべく、かの庵に五度も足を向かわせた、ガク州の御仁のあの熱意には正直頭が下がる・・・。
チ:―――ですね、我等も、兄をこの国に止めさせたかったら、足繁く通わせるべきでした。
ノ:まあ―――もうその事は、今議論しても何も生まない。
ここは折角あいつから貰ったこの策をも有効に活用すべきだ。
〔こうして―――=鵺=が帰ったうあとで、やはり若年をして、政治の中枢にあった者の出盧を嘆く声もあったのですが・・・
そこはもはや“生産的ではない”とした若年寄のノブシゲが、古き友より授けられた『策』というよりは助言を、
有効活用すべし―――との意見を採択したのでした。〕