≪四節;各国の動静―――“ハイネス・ブルグ”『雪月花の三将』≫
〔その国は―――いつになく慌ただしさがありました・・・〕
官:おい―――とうとう“双頭の鷲”が、その爪を研ぎだしたぞ・・・
官:ああ〜〜―――なんということか・・・北方のカ・ルマが、
我等の頭上にあるクー・ナを脅かしているかと思えば・・・
官:今度は足下のヴェルノアが・・・中華の国を挑発するかのような行動を・・・
官:も―――もし・・・かの役が終わったあと、北上してくるという懸念は・・・
官:そ―――それに〜〜我等にはもう・・・・
〜〜――わいわい・がやがや――〜〜
〔その国は―――元々、北にクー・ナという“米蔵”を備え、南にヴェルノアという“番犬”を飼っているようなもの・・・
ゆえに“列強”七ヶ国中、非常に安定したところだったのです。
しかしそのことは、次第にその国の男たちを堕落せしめ、今日(こんにち)のような有事の事態には、その対応に苦慮していたのです。
しかも・・・それにあわせたかのように、この国には、もう・・・
このような有事に、率先して当たっていく将が、いなくなってしまっていたのです。
そう―――以前までには、その名に“雪”“月”“花”を冠した女性の将校・・・
いわゆる『雪月花の三将』と名乗る彼女たちの姿が、そこには見えなかったのです。
それでは彼女たちは今どこに―――・・・〕
リ:まァ〜〜ッたく・・・うちの男共は、こんなときにはオロオロするだけでしょうね。
セ:でも―――そうなるのも無理はないでしょうね、何しろ今まで中核を担ってきた私たちがいないのだから・・・
リ:それに、今頃は私たちをハイレリヒカイトに戻さなかった事を悔いているでしょうね。(ウフフ・・・)
セ:そうそう―――でも、彼らがそうしてくれたから、私たちは今ここにいることなんですし・・・ね。(クスクス)
イ:・・・笑い事ではありませんよ―――二人とも・・・。
それにしても、この度のヴェルノアの動き、どうにも解せませんわね。
リ:イセリア―――どうしてそう思うの。
イ:この時期には―――余り相応しくはない・・・と、言うことです。
せ:(“この時期”・・・?)まさ―――か・・・あなたは、カ・ルマとヴェルノアが、今回の事を結託して・・・
イ:そこまで―――とは申しておりません・・・。
それに、それは推移の飛躍のし過ぎというものです。
第一に、私が云いたいのは、もし―――この軍事行動が、前(さき)に私たちがなした、ヴェルノア近郊の国境付近を固めたこと・・・
まさにそれであるならば、そのタイミングが著しく間違っているという事なのです。
リ:成る程―――そう・・・いわれてみれば―――
セ:確かに・・・
〔この国―――ハイネス・ブルグの、実質上の中心を担っていたという『雪月花の三将』・・・。
彼女たち三人は、今更ながらに云うまでもなく、軍事行動を起こしたヴェルノアに、
ただ右往左往しているハイネスの官僚たちを嗤ってもいたのでした。
その原因は―――結論だけを申し述べると、彼女たちがそこにはいなかった・・・
もう少し判りやすくいうならば、彼女たちは、その“同志”と共に、『亡命』をしていたからなのです。〕