<第四十七章;中華の国の反応>
≪一節;畏るべき迅さ≫
〔当事国を除く他国家の反応は、実に慌ただしさがありました。
その一方での、この大陸の中心に位置するフ国ではどうだったのでしょうか・・・。
やはり―――この国でも、この度のヴェルノアの軍事行動には過敏になっていたようで、
今更ながらに、その対応に追われていたのでした。〕
官:お―――おい、もうカディバまで進出したそうだぞ。
官:なんと―――? この数日間で??
官:い・・・いよいよこの国に牙を剥いてきおったか・・・
〜〜――わいわい・がやがや――〜〜
イ:ふう―――・・・・。(全く・・・頼りのないヤツらだ。)
リ:これ―――イクよ・・・。
イ:ああ―――王后か、どうしたのだ。
リ:此度のヴェルノアの出兵・・・いかなる理由なのか、判らぬのかえ?
イ:いかなる理由―――か・・・(フフッ・・・)
寧ろワシにしてみれば、遅すぎた行動のように思えるのだがなぁ。
リ:な―――なんと??
イ:よいか―――考えてもみよ。
あの国は、今でさえカ・ルマの陰に隠れて判らなくなってはおるが、元々の成り立ちは軍事国家だったのだぞ。
リ:うっ―――むむぅ・・・
イ:それが―――・・・今までその軍事力を楯にして行動しなかったわけは、我等に義理立てをしていたからなのだ。
リ:義理立て―――とは・・・やはり―――
イ:いかにも―――ヴェルノアも、フも、元はといえば同じ血のつながりであるとされておる。
しかも、ヴェルノアの王族は、わが王家の分家だともいわれておる。
しかし―――時が経つにつれ、血のつながりは薄まり・・・いよいよ雌雄を決すべく立った―――と、ワシは見るのだが・・・・。
〔やはり―――ここでも永らくの間、平穏な日々が保たれていたせいか、
官吏たちのうろたえぶりには、目を覆うようなところがあったようです。
そのことを嘆く司徒・イクに、王后・リジュが対応を迫って来たのですが・・・
このときイクは『是非もない』とだけ応えたのです。
そう・・・今までは血縁関係を楯に抑えてこられたものを、いよいよ持って抑えがきかなくなり、
フ―――あるいはカ・ルマと優劣をつけるべく、この度の出師を奉った―――と、していたのです。〕