≪五節;“辛い”―――真実≫
〔そして―――その事実を聞いたホウ王子は・・・〕
ホ:そ・・・そんな―――父さまが・・・父さまが??!
う・・・ウソなんでしよう??
ア:いいえ・・・残念ではございますが、本当の事なのです。
わたくしも、出来うることならば、悪い冗談で済ませてもらいたかったのですが・・・
ホ:う・・・ウソだ―――ウソだ―――!! 母さまぁ〜〜!!
ア:ああっ―――王子様・・・
〔自分の父である、フ国王・ショウ=フェイル=アレキサンドリア・・・
その人が御前会議中に、吐血をして重症である―――と、いうこと・・・。
その事実は、未だ10歳を超えたばかりのホウにとっては、受け入れ難いモノだったに違いはないでしょう。
ゆえに、居ても立ってもいられなくなった王子様は、自分のへヤを飛び出すと、母である王后・リジュの下へと駆け寄っていったのです。
そのあとを追って、アヱカもまた―――・・・〕
ホ:(あ・・・)母さまぁ〜〜―――!!
リ:ホウや―――ホウではないか・・・どうしたのじゃ、ナゼに泣いておる?
ホ:母さま・・・ウソですよね? 父さまがお倒れになったの―――
リ:(ギク!)な―――ナゼそのようなことを・・・
ホ:だって・・・ボク―――アヱカお姉ちゃんから・・・
リ:なんと―――太傅どのから?? どういう事なのじゃ・・・アヱカ殿!!
ア:も・・・申し訳ございません―――
話すべきか・・・話さずにおくべきか・・・私のほうでも迷ったのですが―――・・・
もし、ウソを申して、あとで王子様が真実をお知りになられたら・・・と、そう思い、真実を述べた次第でございます。
リ:そうであったのか――――・・・・。(ふぅ・・・)
よい・・・構わぬ・・・・妾も、いつホウにことの真実を云うて聞かせようかと思っていたのじゃが・・・
殊のほか、真実を述べてくれたのがそなたであって良かった―――・・・
ア:いえ―――恐縮にございます・・・。
〔一国の国主であり、一家の家長である者が病床に就いた―――
その事実を未だ幼いわが子に話すべきかどうか、実母であるリジュでも迷ってはいたのです。
でも、先立ってそのことを成してくれた者が、王子の教育係である太傅であったことに、安堵の胸をなでおろしもしたのです。〕