≪八節;謀略の失敗―――見えぬ“光の盾”≫
〔それから数刻余り―――自分の邸宅から、大股で闊歩するボウは・・・〕
ボ:(フフフ―――・・・そろそろユーミルのヤツが、わが道を阻む者どもを始末しておるとともに、
“傀儡”の身柄をも確保しておる頃合―――・・・)
フフ――――ククク・・・・クハハハ・・・・・
兵:ボウ様―――須らく準備、整いまして御座います・・・
ボ:・・・うむ―――では、征くとするぞ!!
兵:それより―――ユーミル様はいかが致しましょう。
ボ:(フム・・・)あやつは知りすぎた、何もかも―――だ。
それに、この件が済めばもう用済みよ、わかっておろうな・・・そこのところは。
兵:ははっ―――! カシコマリマシタ・・・
〜ぼうっ〜
〔自分が―――・・・張り巡らせた 策 は、万全である・・・とし、
あと、モノの数刻で、自分は中華の国の 総て を掌握できるもの―――と、そう確信していた・・・
―――ですが、哀しむべきは、それが今までの官僚体制だったらば・・・の、話し。
そう・・・つまり、今では、太傅・ガク州公アヱカ入幕に伴い、“忠臣”の数が、“佞臣”の数に逼迫をしてきていたのです。
それに―――・・・ボウは、未だにアヱカの事を、甘く見ている嫌いがありました。
そう―――今のアヱカの下には、『清廉の騎士』と呼ばれた、ある男の存在が・・・
そのことを知らずに、ボウの軍勢はナニ一つ迷うことなく、ウェオブリ城内へと侵入したのです。〕
長:それっ―――かかれ!!
・・・――わあっ――・・・
兵:うわわっ―――?!
兵:な―――なんだ??!
タ:フフフ・・・明日か明後日くらいに動くものとおもっていたが・・・それが今夜中に動くとは―――な。
おかげで手間が省けるというものだ。
長:な―――何者だ!おまえは!!
タ:(フ・・・)残念ながら、お前たちに名乗る名は持ち合わせてはいない。
兵:なんだぁ―――? てめぇは正義の味方気取りか!!
タ:・・・だ―――と、すると、あんた方は悪役と言うことになるなぁ・・・。
兵:こ・・・・このヤロウ〜〜―――ぶっ殺してやる!!
―――ガシィ〜〜・・・ン―――
兵:う、うわっ?!! な―――なんだ・・・こいつ、帯剣してないのに・・・
タ:―――なのに、目の前で弾かれた・・・か。
無理もないな、相手の力量を見極めぬうちからかかってくるから、そういうことになる・・・。
長:(な――――なんだ?? 今一瞬・・・あの男の目の前に、光る“盾”のようなモノが見えた気がしたが・・・)
―――それより、この男がいる・・・と、いうことは、警備を沈黙させていないだと?!
まさ・・・カ、ユーミル様がしくじった?!!
〔城内は静まり返り―――自分たちが闊歩しても、誰も出てこないとあっては、
しいてはそのことを『警備を沈黙させている』と、穿った見解をしてしまったのには、無理はなかったことでしょう。
だから―――ホウ王子の身柄を確保するべく、彼の部屋の前に来たとき、何処からともなく一つの影が現れ、
先頭にいる兵士を弾き飛ばしてしまった・・・
それは一体何者―――と、思っていた矢先、それは紛れもなくあのタケルなのでした。
しかし―――ボウの私兵は、彼の出現と言動が気に入らなかったらしく、剣を抜いて打ちかかっていくのですが―――
なぜか武器を持たないタケルに、その兵士は一蹴されてしまったのです。
その不可思議な理由を質すと、それはまさしくあのスキル―――晄循―――が働いていたから。
それに、この軍団長も、タケルの出現によって、ここの警備が無効化していないことに気付くのですが、
それを聞いたタケルは―――・・・〕
タ:・・・その者達が何者かは知らないが―――黒装束の集団はこちらで捕らえてある。
長:(なっ―――・・・)やはり・・・
タ:それに―――今のお前たちの反応を見る限りでは、お前たちの主の差し金のようだな。
長:お・・・おのれぇ〜〜―――! てやぁあ――――!!
ド☆ ガッ!
〔前(さき)の、ユーミル率いる=マシラ=を、悉(ことごと)くに捕縛している。
そのことを告げたとき、彼らの態度であの忍の集団がどこの所属のものなのかを知りえた―――
そのことに焦りを覚えてしまった軍団長は、タケルに躍りかかっていったのですが・・・・やはり、同じき運命に・・・。〕