≪二節;知っていた者≫
〔それはそれとして―――タケルの意見を聞くために、彼の主である太傅・ガク州公の同意を求めるため、
アヱカのいるホウ王子の部屋へと向かう、イクとセキとリジュ。
しかし一向を待ち受けていた者は―――・・・〕
――コ☆コン――
イ:失礼致しますぞ―――・・・
ア:お待ち申し上げておりました・・・。
司徒・イク様に、録尚書事・セキ様、それに・・・王后・リジュ様。
セ:(なんと??)アヱカ様―――もしかすると、あなた様は、我等が来るのを・・・
ア:―――はい。
それに・・・私の従者に訊きに来たことも―――
ヴェルノアの出師につきましては、この国の内外でも、重要なことにかかわりはありませんので・・・。
イ:(ふぅむ―――)・・・では、王子様はどこへ行かされたので?
ア:そのことならば―――王子様には、コみゅや乃亜たちと表へ出て遊んでおくよう言っております。
それに・・・未だ10歳を超えたばかりの方に、政治・外交などの難(かた)いことを言ったとて、なにが分かるでしょうか。
ですから・・・今のうち―――今のうちだけ、のびのびと他の子供のように遊ばせてあげたいのです。
〔その三人が、自分たちに意見を訊きにくるだろう―――ということを、アヱカは敏感に察知しているようなのでした。
けれども、それは今現在が、この国の浮沈に関わるような事態であることをも、須らく知っていたことに通ずるものだったのです。
それに―――そのようなことを幼い王子の前でするというのもどうか―――と、思い、
王子様をコみゅや乃亜たちに任せたのでした。
しかし―――これにはアヱカのもう一つの意図も隠されていたのです。
それは・・・例え幼いとは言っても、その眼で・・・ソの、曇りのない眼(まなこ)で、
自分の国の民たちが、どう暮らしているのかを見定めて欲しかった・・・
そう―――自分が、昔そうであったように・・・〕