≪四節;核心≫
〔しかし―――実はその策にも、一つの問題点が存在していたのです。
それというのも、今、領土拡大に血道を開けている処に、格好の 贄 を奉げてもよいものか―――と、いうこと・・・
でも、しかし―――〕
タ:フフフ―――・・・無論、和睦のための口上ですよ・・・
ですが、人選はわが国のものとは申してはおりません。
イ:(な、なんと??)―――では、どこの・・・
タ:フ国―――に、より近く、それでいて現在のヴェルノアの陣に一番近い小国家・・・と、言えば??
セ:・・・それはヤー・ヌスでしょうか・・・
タ:―――では、そこへ・・・
『飢えた獣の如くの相手をしてなにになるか、須らく和睦の使者を立てるように』
との文言を携えた使者を立てることと致しましょう。
そうすれば、一縷の望みも見えてきます。
〔そこでタケルは、その使者はフ国より出すのではなく、寧ろ近隣の小国家から立てるように促せたのです。
それも無理らしからず、一日で30もの拠点や砦を陥落させてきたところと、まともに闘り合ってはいけない・・・
それに―――おそらく、立てた使者の命は ない もの・・・と、見込まれていたから・・・。
その上に、まづ自分たちの対応策も莫きに等しかったから、今はこのタケルの策を採用するしかなかったのです。
そのあとで―――この三様が部屋から出たのを見計らい、アヱカからは・・・〕
ア:・・・タケル―――どうしてあそこであのことを・・・
タ:・・・我等が出師の件―――ですか・・・。
ですが、これはあなた様が思っている以上に重要なのです。
以前にもお話しましたように、今回の出師に“公主様”自らが出ていれば、十中八九その使者の命はないでしょう・・・
―――が、そこにワシらが出師出来る口実が生ずるのです。
しかも・・・それが、意外にも両国間を救い立てる唯一の事になりえますのも、努々(ゆめゆめ)お忘れなきよう・・・。
〔実は―――・・・タケルがあの三様の前で説明したのは、それが総てではありませんでした。
それに―――彼自身が、内に秘めていた策とは・・・
意外にも、今回のヴェルノア軍・総大将と相対峙する・・・と、言うことだったのです。〕
To be continued・・・・