≪三節;交渉の再開と、意外なる協力者≫
〔閑話休題(それはさておき)―――
その一方の、女頭領は・・・と、云うと、騎士団の天幕で「あの時」の交渉の再開をしていたのです。〕
団:ふぅぅむ・・・困ったものよのぅ・・・。
さは云えど、上の者からは―――とにかく断りを入れるように・・・と、堅く釘を刺されておる事だしなぁ・・・
婀:まぁ・・・そう固い事をいわずとも、どうじゃ、もう一献・・・
団:おぉ、これは、かたじけない・・・・
ふぅむ、まぁ・・・・狙い通り、あの厄介者が捕まえられて、こちらも一安心―――と、云うところよ。
婀:あの―――女が・・・厄介者?
騎:オオよ、何でも―――うちの神官共の云うには、「女禍の魂」とか云うのを、その身に内包しているらしいからな。
婀:ほほぅ―――と、云うことは・・・
騎:まあ、本当はあの者だけでも良かったんだが。
日頃の気晴らしのために、あの国に住んでいた者を、皆殺しにした・・・・ってワケよ。
婀:成る程・・・では、胸の内も、晴れ晴れした―――と、いう事よ。
騎:ところがな、蓋を開けてみりゃあ、肝心要(かんじんかなめ)のヤツがいねぇ・・・
そう云う事で、こんな辺境にまで来て探さにゃならん・・・と、全く骨の折れる事よ・・・
婀:そうか・・・・それは、お気の毒にのぅ・・・。
(そう言う事であったか―――!! 姫君よ、さぞ、ご無念であった事じゃろう・・・)
・・・・じゃが、しかし―――こちらとしても、大変に骨の折れる事・・・であった事には相違ない。
団:ふぅむ・・・なれば、ワシからも一言口添えをしてやらん事もないが・・・・
どうだ?今宵一晩、ワシと閨(ねや)を供にせんか?
婀:それだけはご免被りたい。
おっと―――どうやら、ここの空気が悪くなったようじゃな、外に出て清々しい空気でも取り入れてこよう―――
では、ご免・・・。
騎:チッ!なんでぇ、お高く留まりゃがって・・・
騎:これ、よさんか・・・
騎:けっ―――!!
〔猛者四人を囲んでの、直談判・・・しかも、少しも臆することなく一歩も引けを取らなかったとは、まさに、彼女の面目も躍如したようです。
そして、この時仕入れた重要な情報・・・
それは、紛う事なき、あの姫君が「女禍の魂」の所有者である・・・と言う事と、姫君の国テラの滅亡―――その経緯だったのです。
(それには、女頭領、同情の念に、堪えなかったようです。)
そして、女頭領、この天幕を出た後で・・・〕
婀:フンッ! 誰が、お主等のような連中に、妾の躰を触らせるものか!!
それに、何よりもいけすかんのは、気晴らしのために一国の民を皆殺しにしおるとは、吐き気がいたすわ!!
しかし・・・このようなところと、約定を交わそうとしていたとは・・・いくら、成り上がりとはいえ、よく相手を見ぬといかんな・・・。
(向こう側から、断りを入れてきたのは、不幸中の幸いであったが・・・な)
〔そう・・・女頭領は、確かな情報を得るため、姫君という手土産を持参し、渦中に乗り込んできたのです。(しかも、保険付きで・・・)
それはそうと、外で夕涼みをしていると・・・・〕
サ:おや?あんた・・・・頭領じゃないか?
婀:うん?そういうお主は、サヤ。
いかがいたしたのだ、このような処で・・・・
サ:ナァに、ちょいとした、日銭稼ぎさ。
最近じゃ、盗賊家業だけで喰っていくには、いささか少なすぎてねぇ。
婀:ほぅ―――・・・・ならば、どうじゃ? 一つ、妾の頼みも聞いてはくれぬか?
サ:ああ、こっちの用は済んだから、かまわないよ。
―――で、なんだい?
婀:うむ・・・実はの、今からここの―――全警備を「無力化」してもらいたいのじゃが・・・できるか?
ナニ、報酬は、あとでたんと弾ませてもらうぞ。
サ:はあ?ここの警備を? まあ・・・そいつはできない話じゃあないが・・・ワケをいいな。
婀:うむ、実はの・・・・
〔なんと、ここで、偶然にも出会ったのは、ギルドの一構成員でもある、サヤなのでした。
でも、どうして、ギルド側の彼女が、カ・ルマの陣内に?
それは、彼女の言う通り、彼女のような下っ端連中は、ギルドの仕事だけでは生活が追いつかず、
代わりとして、こういった副業をこなしていた・・・と、云う事なのです。
そして、女頭領、ここの連中に一泡吹かせるために、サヤに協力の要請を願い出たようです。
その条件として、理由を打ち明けたところ・・・・〕
サ:はぁ―――な〜るっほどねぇ〜〜
私達のように、悪どい事して稼ぐヤツはいねぇ――と思いきや・・・。
跳んだ大悪党だった――って、ワケか。
よっし、それなら任せときな、こんなヤツ等なんざ・・・チョロいもんだよ。
婀:うむ、よろしく頼むぞ。
(さて・・・これで、お膳立ては整った・・・と、後は、彼の者を待つばかりじゃが・・・
・・・・ひょっとすると、夜陰に乗じてくるつもり・・・なのかな?)