≪五節;ざわつく陣中≫
〔でも―――そうすると、カ・ルマの陣営では・・・?〕
騎:フフ、静かなもんだな。
騎:ああ、逆に気味が悪いくらいだ。
騎:・・・ちょっと、用を足しに行ってくるわ。
騎:待ってくれ、それなら、オレもついでだ・・・。
騎:それにしても・・・今、警備の者―――どうしてやがんだ?
騎:ふぅむ、お前も感じたか。
ちょっと少ない気も、しないではないが―――・・・
―――ん・・・?なんだ?あれは・・・
騎:(足??) ・・・うおっ!こ、こいつは―――・・・
騎:こ、これは・・・? おい!どうした!!何があったんだ!!
警:ふぁ・・・・ふが〜〜・・・
騎:こんの・・・・バカが!眠りこけてやがッて―――・・・・
(!!) そ、そういやァ―――あいつのところは!!?
騎:気になるな・・・よし、行ってみよう。
〔しばらく女頭領たちと飲み明かした為、尿意を催し始めた二人の黒騎士・・・
すると連れ立って用を足しに行こうとするのですが―――なんと、異様なまでに陣中は静まり返っていたので、妙なことだとは思っていたら・・・
陣中を見張っていた当番の者は、草叢に隠(さ?)れるようにして眠りこけていたのです。
すると―――
一番に心配したのは、例の生き残りの見張りはどうなのかということ・・・
そして・・・二人の騎士、姫君のつながれていた獄檻車に向かったのですが・・・時、すでに遅し―――・・・〕
騎:あ・・・・っ!!し、しまった!!
騎:・・・・やられたか―――
騎:おい!あんたは、この事を、ジジイに伝えとけ!
オレは、一足先に逃げたヤツ等に追いつき、あの女を逃がしたヤツの頸と、あの女を連れ戻してくるぜ!!
騎:うむ、我々も用意が出来次第、後を追う・・・。
騎:ヘ・・・ッ、心配スンなってよぅ! どうせ身の程知らずのやるこった、このオレだけで十分手が余る・・・ってなモンだぜ。
〔「姫君、逃げ出す」の報は、瞬くの間に彼等の知りうるところとなり、中でも一番若く血の気の多い者に目をつけられた模様です。
そして、もう一人の騎士が、団長の下に報告に上がるさいに、そこで出会ったのはなんと・・・・〕
騎:うん?なんだ・・・貴様・・・・
婀:うん?妾か・・・? 妾は、もう用件がすんだのでな・・・・ずらからせてもらう算段よ。
ところで・・・そなた、なにやら顔色が優れぬようじゃが・・・何かあったのかな?
騎:フンっ!な―――なんでもない!!
婀:フフ・・・そうか、よもや―――「籠の中の小禽」が逃げおおせたか・・・と、思ったのじゃが―――
騎:―――なにっ?!
婀:おお―――っと、これは失礼。
酔った余り戯れ言が過ぎたようですなぁ、では、これにて・・・・失礼。
騎:ち・・・・っ、不愉快な・・・。
団:どうした。
騎:ああ―――これは・・・ちょいと、お耳を・・・・・・
団:・・・・ナニ?!あの女が逃げ出した??
騎:はい・・・。
しかも、見張りの者も・・・ですが―――あれは相当の腕でなければ・・・・・・
団:むむぅ・・・近頃は、訳の分からん輩がおる。
我等もすぐに、追跡隊を組織・・・・・いや、待てよ。
・・・・助けた者、あの女が何者であるか、知ってやったのか・・・・?
騎:さ・・・さあ・・・そこまでは―――
団:フム・・・に、しても、少々気がかりだ、ワシ自ら出よう。
〔女禍の魂を持つ者―――逃走す・・・の、報に、にわかに殺気立つカ・ルマ陣営。
そして、その現時点での最高責任者「騎士団団長」自らが、逃走の幇助をした者の真意を知るために、立つようです。〕