≪八節;清廉の騎士vs騎士団団長≫
騎:あぁ・・・・っ!こ、これは!! キ、キサマがやったのか!?
ス:―――だと・・・したなら?
騎:ゆ、許せん!!
団:まあ、待て・・・。
騎:しっ、しかし!団長!!
団:よくヤられたヤツを見てみろ。
騎:え・・・?
団:この鋼の鎧ごと、一刀の下に断ち割っておる。
・・・・余程の腕と、業物でないと、こうは無理だ・・・。
で、見たところ・・・お主しかおらんようだが・・・・相違ないな?
ス:ああ―――そうだよ――――と、云ったら、どうするね?
騎:こ・・・っ!この・・・っ!!
団:・・・・。
騎:・・・っっ―――く!!
団:ならば・・・もう一つ聞こう、そこの女を連れ出したのも、お前か――――
ス:フ・・・ウソを云っても始まらんからね・・・ああ、そうだ、そいつは認めよう。
団:そうか・・・・なら、このワシと、戦うには、十分すぎる理由だな。
ス:そう・・・・来るかね・・・
団:キサマの名を・・・・一応、聞いておこうか。
ス:聞いてどうする、地獄の閻魔の、土産話にでもするのかね。
団:おのれえい!そこまで嬲るか!!
〔この盗賊―――得意の話術で相手の気を高ぶらせる戦法を取るも、敵も然るもの・・・その手には乗らず、二十合・三十合と打ち合っていったのです。
しかし、力の差は歴然、一方の者は鎧の中まで汗だくになり、顔面からは滝のような汗が・・・しかも、息切れまで起こしていたのです。
でも、もう一方の者は・・・と、いうと、汗どころか息一つ乱さず、しかも、まだ打ち合う毎に、その膂力を増していっているのです。
ですが・・・戦況というものは、ほんの少しの事から、変わっていくものなのです。〕
ス:どうかね、もう参ったして、本国に逃げ帰ったほうが、いいんじゃないの?
団:ふう〜〜ふう〜〜―――(く・・・っ!ナ、ナメた態度を! ・・・・こうなれば・・・アレを使うしか、ないな・・・・)
ぬか・・・せいっ―――!
ス:ぅん?!むうぅん!!
・・・・・・こ・・・っ、これは・・・「透翼刃」!!
団:ふふ・・・そうよ・・・石英で作られたそれを、一瞬のうちに見極め、叩き落したのは、大したモノ・・・
だがな・・・ワシは、一度に三つ、飛ばしたのだぞ・・・・!!
ス:(な・・・っ!一つ足りない!?)
(!!)危ない!姫君!!
ア:え・・・?!
〔騎士団団長が、最後の一手として放った薄く鋭い飛刀―――「透翼刃」。
しかしこれは、実は彼の者を狙っていたのではなく、もう一人の・・・そう、姫君を狙っていたのです。
しかし、この男は、目にも留まらぬ迅さで姫君の背後に回りこみ、身を挺してお護りしたのです。〕
ス:ぅぐ・・・う・・・。
ア:ぇ・・・ええ・・・? ス・・・ステラさん・・・。(い、いや・・・また、わたくしのために、人が・・・)
ス:ふふ・・・こ、このワシを、心配してくれていなさるんで・・・?そ、そいつは、ありがてぇこって・・・。
だがねぇ・・・勘違いしてもらっちゃあ、困りますぜ・・・こんな小細工如きで、ワシを倒そうなんざなあ・・・・。
〔姫君をお護りするために、背中に深く喰い込んだ透翼刃。
しかし、彼の者は・・・それを、盛り上がる筋肉だけで、取り除いてしまったのです。〕
団:うっ・・・くく・・・こ、この・・・化け物め!
ス:ワシとのサシの勝負に、関係のないお人を巻き込もうたぁ・・・虫が好すぎたねぇ、あんた・・・・終わりだよ。
団:ぅ・・・・う・・・・おのれえぇ――――い!
ス:そぉぉぉうりゃぁあああ!!
騎:ああ―――!だ、団長―――!!
騎:う・・・・お、おのれ!!覚えておれ!!
退けぇ―――!退けえぇ――――!
〔騎士団をまとめる者を失った者達は、潰走―――――
そう、つまり・・・たった一人の男に、敗れ去ったのです。
―――そして・・・〕