≪六節;運命の兆し≫
〔それは―――緊張に次ぐ緊張の連続でした・・・。
別称を≪マジェスティック≫と呼ばれる、威風堂々たるアルルハイムのお城の景観もさながらに、
今、自分たちが勤めている≪マーヴェラス≫・・・ウェオブリ城の装飾にも、負けじとも劣らぬ、
絢爛豪華なそれに目を奪われつつ、部屋の一つに通されたアヱカ・・・。
しかも、これから自分一人で、かの名高き噂の立つ『ヴェルノアの公主様』と、直に接見して、
どうしてこの度の軍事行動に及んだか―――の、申し開きを聞かなければならないのに・・・
頼みの綱としていた、タケルとも離されて、今にも泣き出しそうになってしまっているアヱカ―――・・・
しかし、時というものは、無情にも運命という名の扉を打ち鳴らしたのです・・・〕
コン コン―――☆
ア:は―――はい・・・(き・・・来てしまった・・・)
緒:フ国・大鴻臚であらせられる アヱカ=ラー=ガラドリエル 様で御座いますね。
私は、この国の大鴻臚である、 緒麗美耶=スーリヤ=ブレジネフ と、申し上げる者です。
ア:え・・・あなた様も、わたくしと同じ大鴻臚なのです??
緒:はい・・・。
(なんとも―――たおやかなお人柄・・・このようなお方を公主様にあてがおうとするとは、
中華の苦にはナニをお考えであるのか―――)
ア:・・・・あ、あの、わたくしの顔に何か?
緒:・・・いえ―――なんでも・・・
この先に、公主様がお待ちである玉座の間がございますので、そこまでこの私がエスコートをして差し上げます。
ア:・・・はい―――宜しくお願いいたします。
〔今現在、アヱカがいる部屋に、彼女を迎えに上がったのは、奇しくもアヱカと同じ職務であるというオリビヤという名の女性でした。
ですが、そこでオリビヤは、アヱカのその容貌を見るなり、同情の念から入ってしまったのです。
一見すると、世間知らずのお嬢様で通用するような、たおやかな存在・・・
そんな方を、自分の国の公主様にあてがおうとするフ国も、存外に酷なことをするものだ・・・と。
しかし、アヱカはフ国の大鴻臚である以前に、ガク州の州公であり、ホウ王子の養育者・太傅でもある・・・
単に見かけだけで判断して、侮ってはならないのです。
それに―――この会談も、実はアヱカのほうが望んでいた・・・と、云う事も。〕