≪三節;密談≫
婀:・・・一体いつから―――
タ:“部下”と“そうでない者”を見分けられなくていかが致しましょう。
もとい―――先程羽交い絞めにしたときに・・・ですよ。
あのときに感じたのは、情報の収集を生業(なりわい)としているような、しなやかなものに非(あら)ず―――
寧ろ鍛え抜かれた刀剣の類と酷似していましたので―――・・・
婀:なんと―――そうであったか・・・
いや、なんとも―――完璧を期した今回の計画ではあったが、そなたには無駄であったな。
〔やはり―――タケルの寝泊りする寝室に忍び込んできた存在こそ、ヴェルノアの公主である婀陀那なのでした。
そのことを、タケルは先程羽交い絞めにしたときに、ウスウスながら感じたようなのですが、
今―――カマをかけたことにより、その確率はより高くなったといえるでしよう。〕
タ:ところで―――久々に会われた顔はいかがなものでした。
婀:(フフ――・・)変わっておった―――ついぞ数ヶ月前、ギルドで会っておった折には、
未だあどけなさが消えぬものよ・・・と、思っていたに―――。
それが―――・・・(フフフ・・)たったこの数ヶ月のうちに、あのように人間が変わるものであろうか。
タ:それは―――あなた様もでしょう、公主様。
高い処に祀り上げられ、下界の事を何一つ知らないで来た・・・
けれど、『夜ノ街』という落ちぶれた者達の住まうところを見聞し、
『世間にはこんな者達もいるのだ』―――と、そう思われていただけただけでも、十分成長に値しますよ。
婀:うむ―――・・・。
さて、四方山話はさておき、これから本題に入るとしようか・・・の。
タ:“本題”―――とは・・・?
婀:(クス)妾も・・・謀ろうとしても無駄じゃぞ。
そなたらが、真(まこと)にこの国に来た意味を―――余すことなく語ろうではないか・・・・
それにはまづ―――“男”と“女”同士、最も語りやすいスタイルで・・・な。
〔こうして―――自分たちが真に、この軍事大国に来た意味と・・・自分の正体を晒しながら、
男と女の二人は、契りを交わしていくのでした。〕