<第五十四章; 大 血 戦 >
≪一節;謎だった言葉のその意味≫
〔その“言葉”は、おそらく古えの種族である彼らの言語なのでしょう・・・。
その言葉を一番最初に聞いたときには、なんとも不可解で不気味さがあったものでした。
けれど―――次第に回数を聞いていくうちに、その言葉の意味がなんとなく分かりかけてきた・・・。
その言葉の意味合いは『同志』・・・“同じ志を持つ者”の意―――
今まで、ワケの分からなかった言葉は、今では自分の胸の内に燻ぶる熱いモノを燃焼させ始めたのでした。
そう―――彼らは今、このときを持って同じ意志の下に団結をしたのです。
そしてそれは、そこだけ異様に士気が上がっていることだったのですが・・・
彼らにとってはそれだけでも十分に過ぎた事だったのです。〕
キ:虎鬚殿―――ここは私に任せて、あなたは後方へ下がって!
ヒ:へへっ―――なぁにバカ云ってやがんでェ。
あんたも、このオレをただの人間だって、見下そうってのかい?!
キ:・・・そういうつもりはないけれど―――
ヒ:なぁ〜ら、話は簡単じゃねぇか。
このオレも混ぜらせて貰うぜ。
このオレもまだ見ぬ―――あんたの昔ッからの主様の、遥けき理想・・・ってヤツをよ!!
キ:(虎鬚殿・・・ベイガン―――)
ヒ:―――へっ!なぁにボサっとしてんだい司馬殿!
その格好でシャキッとしねぇと、あんたを置いてっちまうぜ!!?
キ:ああっ―――ちょっと・・・
・・・もう―――あいも変わらず猪武者なんだから・・・
(・・・でも、とてもよく似ている―――向こう見ずななその性格が・・・あの人と・・・)
それに―――この姿になっても・・・か、逆に発破を掛けられちゃったわね。
〔彼女と彼は―――もうお互いを欺きあいながら存在はしていませんでした。
いえ・・・でも、それは本当は、あまり危険なことを、脆い人間たちにはさせまいとしたハイランダーの気遣いだったのかもしれません。
けれど、その気遣いが逆に仇となり、人間であるヒには欺瞞の何者でもない・・・と、そう捉えられていたのは、
いた仕方のなかったことだったことでしょう。
しかし―――今は・・・志を同じくし、共に立ち向かう者達となったのです。〕