≪二節;古えの邂逅≫

 

 

〔一方そのころ・・・四方を敵に囲まれながらも、そんな状況さえも向こうに回し、奮闘をしている二つの魔物の影が―――・・・

 

しかしそれは紛れもなく・・・〕

 

 

サ:(フフッ――)こんな状況・・・サープリウス以来・・・だねぇ。

 

マ:>子爵様―――<

 

サ:だ・・・が―――あのときのあたしとは違うよ。

  あの時は・・・ただ上からの援護を頼みとしていたころのあたしとは―――・・・

 

  あの戦では・・・あたしにとっても大事なものをいくつもなくしちまった―――――

 

  臆病な・・・あの時とはねえ! もう決別をしたんだよ!!

  さあ・・・どっからでもかかってきな!!

 

 

〔四方を敵に囲まれた―――同じ状況を7万年前のある戦場・・・

『サープリウス』と同じだ・・・と、そのヴァンパイアの子爵はいいました。

 

 

7万年前当時の『サープリウス』と呼ばれた戦場に・・・彼女は一人佇んでいました・・・。

そう、やはり四方を敵に囲まれた状況下で―――・・・

ただ一つ違っていた事といえば、彼女の周りには味方の・・・旧シャクラディア軍の自分の配下の兵卒たちの屍のみ・・・

 

そして―――その恐怖に打ち震えるサヤ・・・

 

折角“皇”から賜った自分の軍団を、自分ただ一人を残す結果となり・・・

その申し訳なさと情けなさで打ち震えていた自分―――・・・

 

では、そこでサヤは何をしたのか――――

 

やはり今あるように、身体の内から漲(みなぎ)る闘志をして立ち向かっていた―――??!

 

いえ・・・彼女は―――ただ打ち震え・・・ただ―――自分の主であり上司、

『帝国の双璧』<盾>が救いにきてくれるのを待ちわびていたのです。

 

けれども、いくら待てども、その存在は来てはくれませんでした・・・

しかしそれは仕方のないこと、なぜならばその<盾>なる者も、別の戦線で闘っていたのですから。

 

 

それでも―――彼女は待ちました・・・周囲のカ・ルマ兵に揶揄され、詰(なじ)られても・・・

おそらく次の瞬間には陵辱されるかもしれないとしても・・・当時は自分の無力さ非力さを痛感し、何も出来ないでいた自分・・・

 

では―――現在の彼女があるのは・・・?

 

それは―――結果としてはある人が助けに来てくれたから・・・

だとしたらやはり、自分の主であり上司であるあの人が、自分の気持ちを察知してくれてここまで来てくれた・・・?

 

それは間違い―――

では誰が・・・?

 

それは――――当時はあまりお互いがよくは思っていなかった存在・・・

『蒼き龍の騎士』―――そう・・・その ある人 こそ、キリエだったのです。

 

日頃―――いがみ合っている自分たちの上司・・・<槍>に<盾>・・・

だから、自分も知らずのうちに“そういうこと”を刷り込まれ、あちらの陣営をよくは思ってはいなかった。

それはあちらも同じだろう―――と、思っていたのに・・・

 

自分を助けに来てくれたその姿―――・・・その姿を見て、そしてあの言葉・・・『タワーリシチ』を聞いて・・・

どこか勇気を貰った気がした―――

 

そしてその戦線を収めたとき、互いの顔や体が傷だらけになっていたのを見て共に笑っていたあの日・・・

 

あの日以来だったのだろう―――自分とあの人との仲が良くなったのは・・・

 

だから今度は―――イヤ・・・今度だけに関わらず、自分の“戦友”(とも)が困っているときには、

まづナニにおいてもお互いが助け合おうじゃないか―――と、暗黙のうちに誓い合っていたものなのでした。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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