≪八節;Electronic Counter Measure≫

 

ワ:クフフ・・・ハ〜〜―――ッハッハッハ!!

  どうだ?!! オレ様の<スクリーマ>の味は!! 手も足も出んだろう!

  さぁ〜〜お前たち・・・今のうちに鏖殺(みなごろ)しにしてしまえ!!

 

 

紫:ああっ―――い・・・いけない・・・公主様から授かった、あの方の兵が・・・

  い・・・行かな―――ければ・・・(ヨロ〜・・)

 

コ:紫苑殿―――?? い、いかん・・・そっちに行かれては!!

カ:一旦退くのです! 無念なのは判りますが、今助けられない者を助けても、

  自分が被害に遭ってしまうだけなのですぞ?!

 

紫:く・・・っ、公主―――婀陀那様・・・(クラッ〜・・)

 

 

〔紫苑は―――ヴェルノアの公主である婀陀那より直接授かった近衛の1万5千を、

むざむざと魔将の生贄に捧げてしまうのが、たまらなく悔しくありました。

 

だから―――たとえ敵わないと判っていても、ふらつく頭を抱えながら、

魔将・ワグナスの下へと向かっていこうとしたのです。

 

 

すると―――なんとも不思議な事に、あの耳を劈(つんざ)いた奇怪な音が、

突然鳴り止んでしまったのです・・・。〕

 

しぃ〜〜――――ん・・・・

 

コ:うん・・・? どうしたことか―――

カ:・・・妙ですね、あの者が途中で止めてしまうということは、これまでにもなかったことなのに・・・

紫:ううっ―――うぅぅ・・・

 

カ:しかし・・・これは幸いだったのかもしれません。

  今のうちに一旦退くといたしましょう―――

コ:――――むっ?! お待ちなされよ、あれは一体・・・・

 

 

〔両州公も、この事態には不思議に感じていました。

なぜならば彼の存在は、絶対的にこの行為を途中で止めた事などなかったのだから・・・

 

ではどうして―――“悲痛なる叫び”が、このとき ピタリ と、止んでしまったのか・・・

 

それはこちらのほうでも疑問に感じていた事であり―――〕

 

 

ワ:むんっ―――? どうしたというのだ・・・

  オレの<スクリーマ>の効果が・・・抑えられているというのは??

 

  まさか―――? ・・・いや、考えられん・・・

今のこの世に、オレの<スクリーマ>を抑えられるだけのチカラを、持つ者は存在だにせぬはず・・・

 

 

〔それは、ワグナスのほうでも感じていた事―――

自分の得物・・・《超音波発生装置》がついている<スクリーマ>・・・

それがどう云った理由からか、急にそれが利かなくなってしまった―――??

現存する技術では、このチカラに拮抗するだけのチカラはありえない・・・

いや、だからこそ望んでこの時代に復活したというのに・・・

 

でも・・・いたのです―――そのチカラを持つ、唯一無二の存在が・・・

 

そしてその存在を目にしてしまったことから、コウは退こうとするカを引き止めたのです。

 

では・・・その存在とは―――〕

 

 

コ:な・・・なんなのだ―――あの・・・奇妙な姿をした者は・・・

カ:(ゴク・・)半身を―――龍と化したる存在・・・

紫:(や・・・やつらの援軍? それとも第三勢力―――)

 

 

〔『ECM』―――広範囲にてあらゆる音波やその発生装置を無効化とする“抗音波発生装置”

 

そこに現れた奇妙な姿をした者を見て、双方が驚愕をしました。

なぜならば蒼き龍と半身が同化している存在・・・『ハイランダー』が、そこにいたのですから・・・〕

 

 

 

 

 

 

 

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