≪四節;不思議のチカラ≫
ヤ:うっ・・・痛ぅっ―――(ズキ・・)
ア:あ・・・傷が痛み出したのですね―――少しお待ちになって下さい・・・
〔しかし―――次の瞬間に・・・ヤノーピルの傷がまた痛み出した瞬間に、
彼らは驚くべきことを目の当たりにしたのです。
今―――合掌された手の平に燻ぶりだした心地よい暖かなる光・・・
その光は、やがてアヱカの額一点に集中される事となり、
そこからは、光の翼にも見えるような帯がいくつも確認され始め・・・
しかし、それこそはアヱカがある者であることの唯一の証―――
そして、ある場所に隠されたあるモノ、 =アーティファクト= を引き出せる証・・・
彼女が―――・・・怪我人に手を翳した瞬間、
その者の身体は、なんとも和む光に覆われ―――次第に負っていた傷も、
その痕を遺すことなく治癒されていく事となったのです。
ただ・・・その現象は、“未知なるチカラ”であった以外には・・・。
それでは、どうしてアヱカがこのチカラを身につけることができたのでしょうか。
それは・・・紛れもなく、アヱカ自身が自分の身に宿る“あの方”からのレクチャーを受けていたから。
そう―――“あの方”、女禍様から自身のアーティファクトである『カレイドクレスト』を、
いつでも開放・・・引き出せられるように、また強大なチカラの前に振り回されないように、
低い段階から慣らしておこう―――とする意図も少なからずあったようです。
ですが―――普通の人間・・・それも女性であるアヱカが、未知なるチカラを解放したことで二人は・・・〕
ヤ:(だ―――誰なんだ・・・こいつは、見掛けはただの人間のように見えるが・・・
このオレの傷を―――ものの見事に治しちまいやがった・・・。
それに―――なんなんだ・・・この―――温けぇ光は・・・
このオレの―――すさんだ心に、容赦なく入り込んできやがる・・・)
ホ:(お姉ちゃん―――どうしたの・・・?
どうして―――・・・お姉ちゃんの額に、光の翼のようなモノが・・・
でも―――なんだか温かいや・・・まるで・・・母さまに抱かれているみたいだ・・・)
〔アヱカの見慣れないチカラを目の当たりにし、ヤノーピルは元々自分の属する国のオーラとはまた別のモノと接触して、
その慈愛の光に心を揺り動かせられた―――・・・
もう一方のホウ王子は、アヱカが自分にも見せた事のない一面を見せた事で一瞬戸惑いはしたものの、
その光の暖かさに、母の温もりに似たものを感じていたのです。〕