≪五節;黒き翼の暗殺集団“シュヴァルツ”≫
ア:―――どうやら治ったようだね・・・。
それではホウ様、私たちはこれで戻るといたしましょう。
ホ:う、うん―――・・・
ヤ:お―――おい、ちょっと待てよ!
ア:―――君は、傷が治ったのなら、すぐにここから立ち去ったほうがいい。
ホ:えっ・・・どうしたの―――?
ア:・・・つい先ほど―――私の部下のそのまた部下である二人が、
上空を飛び回る有翼人を射落としたそうだ・・・
ヤ:~~―――・・・。
ア:私は・・・彼らに直接問い質しをした。
翼がある―――それだけで射落としたのか・・・と。
彼らからの返事はなかった―――・・・
ヤ:(うぅっ・・)――――・・・・。
ア:けれども、別の報告では、カ・ルマから翼を持った暗殺集団がこの国に向かいつつある―――
と、云う事だった。
ホ:えっ・・・?
ア:―――もし、君がその集団の一員ならば、今、私がしてしまったことは、
部下である者達のしていることを無駄にする事でもある。
だからどうか―――このまま事を荒立てないまま、この場を去ってくれないだろうか。
〔その女性は、傷を感知させた者に向かい、急いでこの場から去るように促せました。
でもそれは、アヱカの部下―――タケル某が配下においている諜報集団の『禽』の二人が、
この未明にウェオブリ上空を飛来している有翼人の集団・・・そのうちの一人を射落とすのに成功させ、
その射落とした者を捜すべく、血眼になって探している事を仄めかせたのです。
それに、もう一方でもカ・ルマからの情報にて、有翼人の暗殺集団が、この国に向かいつつある―――・・・
その事を聞いたとき、ヤノーピルの顔が少し青ざめました。
今―――アヱカが云っていた暗殺集団こそは、自分が所属していた所の何者でもないのだから・・・。
この“黒き翼の人”<レイヴン>のヤノーピルは、ガルバディアの北方の地・・・
かの、“北の最果ての洞窟”と呼ばれていた『ハーヴェリウスのラビリントス』の近くにある、小さな集落の一つに生を受けました。
けれども、彼ら―――カ・ルマ所縁の者達が復活した事により、
また・・・翼を持っているといった高機動性に目をつけた彼らに取り込まれ、
来る日も来る日も―――ある者を弑することのみを刷り込まれてきたのです。
その彼らが、弑するよう教えられてきた存在こそ―――
この世に復活してくるであろう『女禍の魂を持ちし者』・・・そう、アヱカのこと―――
ですが、この数奇な巡り合わせの中で出会ってしまった彼らは、
この後言いようのない体験をしていくこととなるのです。〕