≪二節;ささやかなる反抗≫
〔そんな時、射落とされてもはやこの世にはいなくなったであろうとされていた者が、
自分たちのアジトに現れたことで・・・〕
団:・・・ヤノーピル、お前―――
ヤ:なんだよ、他人を“死人”で見るような目で見るもんじゃねぇぜ。
団:だが、しかし・・・お前―――
ヤ:ああ〜スナイパーから受けた傷だろ?
見てのとおり、どこかのお人好しのお陰で完治したぜ。
団:そうか・・・ところで早速なんだがな。
ヤ:おいおいおい・・・ちょっと待ってくれよ―――
こちとら、向こうにあんなヤツ等がいるとは聞いてやしなかったぜ?
ここはひとつ・・・本国まで帰る事にしましょうや―――
団:なんだと? だが・・・そうしてしまったら、大王閣下のご命令に背く事になるのだぞ。
ヤ:はぁ〜あ・・・その事なんですがよ―――ここにオレたちがターゲットとしているヤツがいる・・・っての、ガセネタなんじゃねえの?
第一―――そのお陰で、オレは散々な目に遭わされて来た事だし・・・なあ。
団:ヤノーピル・・・お前、まさか―――・・・
ヤ:だが・・・どうしても―――ってんなら、こっちにも考えってなモンがあるんだぜ・・・。
団:なんだと―――??!
ヤ:そう目くじらたてなさんなよ・・・何しろお荷物が手前ぇから降りてやるって云ってんだからなぁ。
団:ヤノーピル・・・お前、栄誉あるこの“シュヴァルツ”から抜けようというのか!!?
ヤ:――――っったりめぇだろがよ!
こちとら苦労もせずお手軽が身上なのによぅ・・・最初に聞いてたのとはえれぇ違いだぜ!
ハッ―――やってられっかよ・・・
団:うぬぅぅ・・・・この腰抜けが。
ヤ:何とでも云いやがれよ―――そりゃあんたらは死に目に遭った事がねえから云える事だろうがよ、
オレは、もうあんな目に遭うのは二度とゴメンだぜ―――
団:(ちっ・・)つくづく団体行動を乱すヤツめ・・・
いいだろう―――お前がそこまで願っているというのなら、除隊を任命してくれる。
ヤ:フ・ン―――(ニャリ)
〔なんと―――そこでヤノーピルは、自分の上司である団長と派手な云い合いをした挙句に、
自分が所属をしていた“シュヴァルツ”から抜け出すとまで言い出したのです。
その事にあきれ返り、彼自身がそう望むのであれば・・・と、云う事で、
団長はすぐその場で彼を除名処分としたのでした。
しかし―――・・・一つ疑問に思うことは、どうしてヤノーピルは、こんな大胆な行動に踏み切ったのでしょうか・・・。〕
ヤ:(へへっ―――これであんたに借りてた“貸し”は返したぜ・・・。
ま、なんにしろ、恩を受けっぱなし―――ってのは、このオレの気が収まらねぇしな。
それにしても・・・これからどうするかねぇ―――思い切って、翼を隠してあいつらの傍にでもいてみるとすっかな。)
〔それは・・・彼自身が、自分の命を救ってくれたというお人好しに、何らかの形で借りを返そうとしたに過ぎない事だったのです。
傷付いた自分の身体を覆い・・・治癒してくれた心温まる光―――
遠い―――過去の記憶にも感じた事のあるような・・・そんな懐かしさが甦ってくるような、
そんな心地のいいもの―――・・・
だから彼は、なんら迷うことなく、ご恩のある人の下に行こうとしたのです。〕