≪四節;浮かれ気分もほどほどに・・・≫

 

 

〔ところ変わって―――ここはジン州城の一室・・・

 

先ごろ、近隣の=列強=ハイネス・ブルグから亡命をしてきた五名は、

この州の州公様が、未だに他州への援軍に出向いて帰って来ていないということで、

空き部屋の一つに収監されていた状況だったのです。

 

ですが―――その身は限りなく“自由”に近いものなのでした。〕

 

 

リ:(フフ〜ン♪)ん゛〜〜―――・・・! こんなに羽を伸ばせたの・・・って、久しぶりよねぇ。

セ:でも・・・いいんじゃない、こんなのもたまには―――

 

イ:(お気楽でいいわね・・・・)

  それはそれとして―――ジン州公であられる方はまだ戻られないのですか。

 

官:は―――はあ・・・いかんにせよ、援軍に出た戦場が、ガク州方面なのでありまして・・・

 

リ:もお〜〜・・・イセリア?! あなた悪い癖よ?

  ゆっくり出来るときには、ゆっくりとしとかなくっちゃ―――

 

イ:そうはいいましても、ここへ亡命をしてきてもう三ヶ月あまりにもなるのですよ?

  十分にリラックスできましたでしょうに―――・・・

 

リ:そう・・・・だけどもさあ〜〜――――

 

ギ:はっははは―――それくらいにしてやったらどうかな。

  その三ヶ月前までは、お前さんたちは張り詰めるくらいに気を張り詰めていたのだからなぁ―――(トクトク・・・)

  (クイッ〜)ぷっはぁ〜〜―――! それに・・・ここにおいてある酒も、クー・ナが近い事もあって、同じような製法なことだしなぁ・・・。

 

イ:ギルダスさん―――・・・

  (はあぁ〜〜あ、この方がこんなにもお飲みになる方だとは思っても見ませんでしたわ―――)

  ミルディンさんからも、なにか一言言ってやって下さらない―――?

 

ミ:・・・私が―――?

  ですが・・・まあ―――このひと時を、英気を養う次への段階と捉えれば、無駄な時間とは思えませんが・・・?

 

イ:(だぁ〜めだ、こりゃ――――)

 

 

〔のびのびと―――普段着にて寛ぐ“月”と“花”の宿将・・・

すると、それを見かねた“雪”の宿将は、『そろそろ気を引き締めたほうがいいのではないのか―――』と、促したのですが、

この三名と同じくして、フ国へと亡命をしてきた元・クー・ナの将校であるミルディンとギルダスからも、

『そんな事を云わずに、そちらももう少し寛いだらどうか―――』と、云われ、

今更ながらに一人浮いてしまっていたイセリアがいたのです。

 

それはそれとして―――彼女たちが悠々自適に日々を過ごしていたさなか、

ようやくジン州公が遠征先から戻ってきたことを聞き、早速目通りできるよう奏上するイセリアが・・・

 

そして、その願いが受理された事を、他の同志たちに告げに行ったところ―――〕

 

 

リ:さ―――参りましょうか・・・

 

イ:リリア―――それにあなたたちも・・・

 

セ:そういう―――顔をするものじゃないわ・・・イセリア。

 

  昨日までの私たちはもういない、今日からまた私たちは戦場に身を委ねなければならない・・・

  けじめはきちんとつけないと―――ね。

 

ギ:それに―――そろそろ身体を動かさんとな。

適度に休息をし、適度に働くのもまた、騎士の務めでもあるのだよ。

 

ミ:フフッ―――そうはいいましても、一番に暇をもてあまし気味だったのは、

  あなたではありませんでしたか―――ギルダス。

 

ギ:はっははは―――そいつを言うな、ミルディン。

  何も暇をもてあまし気味だったのは、オレだけじゃないはずだろう?

 

ミ:それも―――(フフフ・・)そうですね・・・

 

 

〔自分は―――何一つ判ってはいなかった・・・

ここにいる者達は、ひと時の安らぎに満足している者達などではなく、急場にはすぐにでも剣をとって戦える者達であったという事を、

イセリアはようやく理解し始めたのです。

 

そう・・・そこにいたのは、昨日までのだれた顔の持ち主などではなく、

いつでも出撃できるように、自分の鎧を身に纏った武人が四名・・・

 

この者達が、この日の来るのをどんなにか待ち焦がれていた―――と、言うことだったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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