≪五節;傾きかける時代を感じる者≫
〔その一方で、永い遠征から自治領であるジン州へ戻って来たカは・・・〕
カ:ほう・・・ハイネスの方から亡命を―――
わかりました、すぐにでも会ってみる事といたしましょう。
〔カは、=列強=の一つであるハイネス・ブルグから亡命者があることを、州官の一人から聞いても、
さして驚いた感じにはなりませんでした。
でも、それは、彼自身が少なからず感じていた事―――・・・
この世の中が、ゆっくりとした足取りで 暗黒の時代 へと移り変わろうとしている事を、
肌身に感じていたからなのかもしれません・・・。
―――ともあれ、“亡命者”である五名に会ったカは・・・。〕
カ:初めまして―――私がこのジン州を治めている、州公の カ=カク=ハミルトン と、申す者です。
イ:こちらこそ初めまして、私はハイネス・ブルグで尚書令を勤めていました、
イセリア=ワィトスノゥ=ドグラノフ です。
リ:同じく―――私は太常である、 リリア=クレシェント=メリアドール です。
セ:同じく―――私は中書監である、 セシル=ベルフラワー=ティンジェル です。
ギ:オレは、このお三方とは違う・・・クー・ナの将軍であった、 ギルダス=ヴィンゲーツ=サッチャー だ。
ミ:お久しぶりでございます―――ハミルトン殿。
私はギルダスと同じくの、 ミルディン=ペィター=チャーチル です。
カ:フフ―――フフフ・・・これはこれは、亡命者といいますから何者か・・・と、思えば。
よもや名高き『雪月花』の三将と、クー・ナでもその人ありと謳われた二将・・・とは、
私たちにとっては喜ばしい事でもありますが、世の事態としましては、深刻な問題に傾倒しつつあるようですね。
〔この亡命者五名の身元が明らかとなったことに―――
カは、フ国やジン州にとっては利益のあることだ・・・と、言いました。
しかしその反面―――彼らのような逸材が、列強各地から流出している事態を、
『深刻な問題である』と、していたのです。
そして、この男の慧眼さながらのところに、イセリアたちは驚かされたのです。〕
イ:(なんて人・・・一つの利に捉われることなく、事象全体を大きな物事として捉えているなんて・・・)
セ:(私たちの国の男連中とはまったく異質のモノ・・・それに、だとしたら―――この国には彼のような優秀な人材が沢山いる?
考えられるわ・・・だからこそ、この国は 中華の国 として栄えてきた・・・。)
リ:(凄い―――私たちは自分たちの国の男たちの不甲斐なさに愛想を尽かしていたのに・・・
世の中には彼のような男の人もいるんだ―――それを考えると、私たちのこれまで・・・って無駄だったんだなぁ。)
〔彼女たちの言う 男たち とは、いつも長いものに巻かれ、自らの主張などはもってはおらず、
そのくせ―――やたらと威張りちらす・・・そんな、自分たちの故国ハイネス・ブルグの官僚たちのことなのでした。
しかし、一旦国を離れ、フ国に帰順する際に垣間見たカの有り様に、
真の男の像を見出していたのです。〕