≪三節;イセリア―――ドルメンへ・・・≫
〔そこで、まづイセリアは―――めぼしい官たちとの挨拶よりも、行きたい処があったのです。
それは―――・・・ウェオブリより南西一里の地点にあるドルメン・・・
古式ゆかしく霊験あらたかなる場所であり、この大陸・・・ガルバディアのほぼ中央に位置するという古キ遺構・・・
その場所で、自分たちのここでの成功を願うために、参拝をするため訪れた―――
の、ですが・・・実は、この場所には、イセリアより先に来ていた者達がいたのです。
彼女たちは―――まずこの地に至る前に、幼い者の母から許しを得て、ひと時の安息を求めに来ていました。
そして、幼き王子の有り様を、自分の配下と、このたびから参入していた異国の将校に託し、
自分でも所縁(ゆかり)の深いこの場所に足を向けていたのです。
こうして―――自分の国の諸百官の挨拶攻めに遭い、疲れきった身体を、
そのドルメン内にある庭園の大樹『沙羅の樹』の根元にて、安らかに眠るホウ王子と・・・
この王子を目撃した、もう一人の参拝者―――イセリアが見つけてしまった事により、
彼らの間での、運命の歯車が・・・激しく噛み合いだしたのです。〕
ホ:――――ZzzZZ・・・(スヤスヤ〜)
イ:(・・・ぅん? ―――あれは・・・)
(どうしてこんな処に、幼子が眠っているのでしょう・・・)
(・・・もしかすると、ここまで来るのに疲れてしまって、それで休んでいるのでしょうね―――)
(それにしても・・・この子の母親はどうしたというのでしょう、ここは清らかな場所ゆえに、
魔物などはうろつきはしないでしょうけれど・・・無用心に過ぎますわ―――)
〔イセリアが見かけたのは、無防備にも沙羅の大樹の下で眠りこけている、幼い―――幼い・・・子供なのでした。
では、どうしてこんなに小さな彼が、こんなところで眠りこけているのだろう・・・
そのことをイセリアなりに憶測を立ててみるには、
おそらく彼は、遠い道程(みちのり)をして歩き疲れたから、休むためにここに眠っているのだろう―――・・・
ならばこの子の母親は―――?
そのことも、眠っている稚児を起こすのも忍びないとし、自分だけ参拝をしているに違いない―――
そう思ってしまったのです。
けれどそれは大いなる誤り・・・・
しかし、例えそうであったとしても―――この幼ない児を見かけたからには、一人にするには危険だとして、
イセリアがホウ王子に寄り添う形で横に座ったのです。〕