≪六節;不思議なる装備品≫
〔すると―――ここで、ゼシカが携帯していた機器から、何かを知らせるかのようなアラートが・・・〕
ピ ピュイ〜――― ピ ピュイ〜―――
ゼ:(あ・・・そうだった―――私は今、メンテナンスの途中だったんだわ・・・)(カチ☆)
イ:(何なの―――今の音・・・それに気にはなっていましたけど、
この人ハイネスの“機械士”のように数々の工具類を持参していますわね・・・)
ゼ:ちょっと―――そこ、すみません。(ガサガサ〜)
イ:(あの茂みの中を・・・何をしているというの?)
ゼ:えぇ〜っと・・・あった―――(カパ☆)
ピィ〜ン――― ピィ〜ン――――・・・
ゼ:あ・・・れぇ?(ここじゃ―――ない・・・?)
イ:(どうやら・・・それらしいフリをして、この場を取り繕うとしているようですけれど・・・無駄な事ですわ。)
ゼ:(おかしいなぁ・・・・確かにここだと思ったんだけれど―――もう一度確認してみよう・・・)(ピ☆)
ヴ ン―――・・・
ゼ:(えっと・・・現在位置がここだから―――)(ピ☆)
(私がこれから見なければいけないところは〜〜・・・・)(ピィ〜ン・・ピィ〜ン・・)
〔今の、この電子音のお陰で、自分がやらなければならないことを思い出したゼシカは、
イセリアの脇をすり抜けるようにして、近くにあった茂みへと頭を突っ込み―――
その中に設置されていたある装置を調べてみたのです。
―――が・・・そこには異常がなかったばかりか、すぐ傍にいたイセリアからは、ますます持って怪しまれるところとなってしまったのです。
しかし、そのことはよそに、腕に装着していた装備品で、どこに異常があるのかを確認するゼシカ・・・
するとそこには、空間に浮かび上がる半透明の ディスプレイモニター に、
ゼシカがいる 輝点 と、異常を示す 点滅する輝点 ・・・
この・・・自分が知らない、あまり見ない現象に絶句するイセリアは―――・・・〕
イ:(こっ―――これは??! い・・・一体なんだというのです!?
私にも見える・・・空間に投影されたこの映像―――・・・まやかし?! いえ、まやかしなどではないわ・・・
だって、おそらくこの人を示す輝点が動いてますもの・・・)
〔この―――・・・ゼシカ某なる者は、おそらく芝居をかけてその場を紛らわし、煙に巻いた後この場から引き上げるつもりなのだろう・・・
ならば自分は、そのことを予測して逃げる者を取り押さえるまで―――・・・
イセリアは、すでに自分の頭の中でこのようなシナリオを描いていました。
ですが―――自分でも・・・そして、おそらく幼な児とその保護者なる者も、
初めての体験ゆえに、さぞかし驚いているに違いない―――と、そう思えば・・・〕