≪二節;退屈な社交辞令≫

 

 

〔それはそうと―――こちらでは・・・〕

 

 

紫:―――ご苦労様でございます、婀陀那様・・・。

 

婀:うむ―――・・・

  いやはや、それにしても肩の凝る事よ、こういった社交辞令は特に・・・な。

 

紫:心中お察し申し上げます―――

 

婀:フフ・・・このようなことならば、ヴェルノアにて留守をしておるあやつも来させれば良かったかな―――

  そうすれば、妾の負担も軽減できたのじゃろうに・・・

 

紫:フフフッ―――そのことを一番に感じているのは、あの者ではなかったでしょうか?

  今頃は マジェスティック にて、婀陀那様と同じことをぼやいていることでしょう。

 

婀:ははは・・・いやはや、そうではあるな―――

 

  (ふぅ・・)それにしても―――あたらこういうことになれておるはずの妾でさえ、気疲れしておるのじゃから、

  ヒョウ殿に代わって皆の相手をしておる、幼きここの第二王子―――――

 

紫:(ぅん?)―――いかがなされましたか、婀陀那様。

 

婀:フッ―――フフフ・・・もう一人挨拶を交わしておかねばならる者がおったわ・・・

 

紫:(え?)(ぎょっ!)あ! あれは―――・・・

 

婀:あの者が、どうしてここにおるのかは、興味の対象の一つではある・・・が、な。(ニィ)

 

紫:(リリア・・・クレシェント=メリアドール! どうしてこの人がこの国に?!)

 

 

〔社交辞令慣れしているはずの婀陀那でさえも、大勢の官たちの相手をするのは久方ぶりとあってか、少々気疲れをしているようでした。

 

そのことをいち早く察する事ができて紫苑は、すぐさま婀陀那の下まで近づき、労(ねぎら)いの言葉を二・三かけたのです。

 

ところが―――その合間に、婀陀那が何者かと目が合ったらしく、そのことによって会話が途切れてしまった・・・

そのことで主のいる方向―――の先にいた者を、紫苑も同じくして視認してしまったのです。

 

それこそは―――自分の主 婀陀那=ナタラージャ=ヴェルノア と、同義になりたいがために、

日々、研究・精進を怠らない存在・・・

 

そして―――ついぞ先頃は、ある事の確認を取るために、単身ヴェルノアに派遣されてきたハイネス・ブルグの官・・・

 

そのことゆえに身構えてしまうのですが・・・・〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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