≪三節;訓告≫
〔ですが、もうお一人は―――・・・〕
ア:失礼をいたします・・・
婀:おお―――これはアヱカ様・・・
イ:―――・・・・。
ア:新年早々といいますのに、人臣の心を掻き乱す―――というのは、いかがなモノでございましょう。
イ:ですが・・・これは事実―――
ア:たとい―――事実であったとしても、人々の心に不安を掻き立てるようなことは、
云わぬほうがよろしかったのではございませんでしょうか。
確かに・・・あなた様ご本人の口から出てしまわれた事は、まやかしではない―――と、信じるに足る事でございます。
ですが―――しかし・・・ここは日を改めて申したほうが良かったのでは―――と、わたくしはそう思うのです。
イ:・・・申し訳ございません―――
ア:それに・・・婀陀那さん―――あなたのほうも、他人を焚付けるような言動は差し控えていただかないと・・・
婀:・・・畏まりました、以後気を付けいたしましょう―――
ア:判ってくだされば・・・それでよろしいのです―――
それにしても、わたくしのような者が諸官を差し置いて発言いたしました事を、
この場をお借りして深く陳謝いたしとうございます・・・。
―――どうも、お騒がせをいたしました。
〔『新年』という・・・いわばお目出度い席を騒がせた二人を注意した者―――
その人物こそ ガク州公 であり、またホウ王子の養育者 太傅 でもあるアヱカなのでした。
しかも彼女の弁は須らく的を得ており、驚愕の事実を前に声の出なかった諸官たちの面目を保つべく、
その場を収まらせた―――と、云う事に、次第に誰もが・・・
アヱカのことを再認識せざるを得なくなっていくのでした。〕