≪七節;あの言葉の意味≫
〔その後日―――彼らには、とある者の名においてそれぞれが・・・
征北将軍―――リリア=クレシェント=メリアドール
征西将軍―――セシル=ベルフラワー=ティンジェル
征東将軍―――イセリア=ワィトスノゥ=ドグラノフ
鎮北将軍―――ミルディン=ペィター=チャーチル
鎮東将軍―――ギルダス=ヴィンゲーツ=サッチャー
―――に、任じられたのです。
その前に・・・では、この五名の新たなるフ国の将校を任じた人物・・・とは?
その人物こそ、イセリアたちが任地に赴いたと同日、やはり新たにフ国の 録尚書事 に就任した―――〕
―――貴君を、征北将軍に任ずると共に、ヤンセンに封ずるものとする―――
〔このたびの想定外の人事により、憤る者がそこにはいました―――
と、同時に、新たなる任地に赴き・・・数刻遅れで届けられた任命書―――
どこかで見たことのある筆跡・・・を前にして、
また、リリア自身も良く知る人物名と、この度新しく就任する事となったある官職名を前に、
ただ・・・驚くばかりなのでした―――
それでは、リリアが以前から良く知り、その筆跡も幾度となく真似した事があるという・・・
新しくフ国の最高施政官に就任した者の名は―――・・・〕
リ:そんっ・・・・なっ―――あ、あの方が・・・?!!
―――フ国 録尚書事 婀陀那=ナタラージャ=ヴェルノア
〔流れるような・・・麗しい―――その書体。
この大陸随一の軍事大国の公主でありながらも、教養の深さが見て取れるものに、
リリアはただ絶句していたのです。
しかし―――それはリリアだけに限った事ではありませんでした。
リリアと同じくして他の砦に派遣された者達も、この意外性に富んだ人事に言葉を失っていたのです。
ただ――― 一人だけ・・・イセリアだけは、婀陀那と会っていた時の、あの言葉を噛み締めながら、こう思っていたのです。〕
イ:(なるほど・・・あの時あの方がおっしゃりたかったのは、こういうことだったのですか・・・
おそらく―――あの方はお休みをとるつもりでこの国に来たのでしょうけれども、
時代がそうはさせてはくれなかったようですね。)
―――まあ・・・それにしても、これで本当に痛み分けになりましたとは、
なんとも皮肉です事・・・。
〔新年には、実に真正面から婀陀那にぶつかり、その後には一度見限った故国に戻るように諭された・・・
そのときには、どうして自分たちばかりが貧乏くじを引かなければならないのか・・・と、云う事もあったのですが、
同時に婀陀那が洩らしていた事―――『自分にもそういうお鉢が廻ってくるのも是非もないこと』が理解できたのです。〕