<第六十章;シャクラディア>

 

≪一節;真の姿≫

 

 

〔今までの役割は終わり―――これからはその人自身の新たなる居住となっていく・・・

その一言を聞き、ゼシカは自身でも抱いていたある疑念が、晴らされていく気がしたのです。

 

そしてそれを―――これより体感していく事となるのです。〕

 

 

ゼ:・・・ここが―――これからあなたのお住まいに・・・ですか。

 

ア:うん・・・。

  どれ―――そのことも今の状況では信じるには足らないだろう・・・

  だから・・・これから君に見せるのは、今まで一人でやってきてくれたことへのお礼。

 

  ここの―――真にあるべき姿を見せてあげるよ・・・。

 

 

〔『遺構』―――とは、古き時代の建築物が朽ち果てて、今日(こんにち)にその一部が遺るという存在。

それは、ここ“シャクラディア”とて同じコト。

 

往時には立派な建築物だったのだろうに、次第に年月が経つに連れ、進んでいく風化―――・・・

柱・壁などは脆くも崩れ去り・・・もはやそこがなんだったのかさえ判り辛くなるほど、一部しか遺されていない状態・・・

 

けれども―――古えの皇のアストラルバディに諭されて、ここの整備を行っていた者は違いました。

幹の中間からへし折れた樹―――その幹の中からは、想像も付かないほどの高度な技術があしらわれており、

しかもそのような偽装が数十箇所も・・・?

 

もし・・・これが、自分の母の手記を見ていない自分の者以外がここを見たならば―――・・・

そしてこの仕事に従事したのならばどうなのだろう・・・

おそらく―――今、通説となっている事自体が覆されてしまうかもしれない・・・

 

それほどの衝撃的事実が、このドルメンには秘匿とされていたのです。

 

 

そして今度は、おそらくここの本来の主であるといっても過言ではない方が顔を見せ、

自分に『この遺構の真にあるべき姿を見せてあげよう・・・』―――と、そう云った。

 

ゼシカも薄々感付いた事―――ここが 遺構 ではないとしたら・・・?〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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