≪四節;新たなる展望≫
〔閑話休題―――
今現在では、アヱカの居住と化したシャクラディアにて、
またもゼシカに『あるお願い』をするアヱカが・・・〕
ゼ:あの・・・“これ”を??
ア:ああ―――今はちょっと必要のないものだからね・・・しばらくは君に預けておこうと思う。
そして、これと同じものを、とりあえずは100用立ててもらいたいんだ。
ゼ:―――そう簡単におっしゃられますが〜〜・・・
こんな精巧なもの、私如きでは到底・・・
ア:ウフフ―――・・・何もゼロから創ってくれとは云ってはいないよ。
ゼ:・・・すると〜〜云う事は、量産化されたものがあるのですか?
ア:まあ―――そういうことだね。
区画 Ξ817 に行ってみてごらん、これとよく似たモノが沢山あるはずだから。
それで、その中からすぐに使える状態にあるものだけを判別して、100ほど用立ててもらいたいんだ。
なに―――ニルの娘さんだもの・・・君には出来るよ。
〔ゼシカがそのとき預かったもの―――それは一見すると“腕輪”や“ブレスレット”のような 装飾品 にも似通ったものだったのですが、
それがこの方の腕に装着されたとき、数々の奇跡の現象を目の前で起こさせた・・・
それは最早、『装飾品』ではなく、それを模造した『装備品』・・・
しかも、かなり高い技術がその中に封じ込まれているという・・・
それを100という数を用立てて欲しいと云われ、これはさすがに難しいのではないかと思われたのですが、
過去に大量生産された在庫分が、かなり余っている―――としていたのです。
そして起動する仕組みと数々の機能を理解するために、その方はゼシカに自分のモノを貸しておいたのです。
それはそれとして――― 一方のコキュートスでは・・・〕
コンコン〜―――☆
シ:入っていいよ〜〜―――
ビ:では失礼をして・・・
シ:フフ〜ン♪ どうやらあの子が、自分がいるべき場所に戻った様だねぇ。
ビ:お慶びを申し上げます―――しかし、それにつきましては・・・
シ:ンフフ―――・・・ニルヴァーナ・・・コードネーム<炎妖>とまで云われたカレンの娘・・・ゼシカのことなんだろう〜?
ビ:ヘカテ様も・・・何かと肩身の狭い思いをしたのでしょう。
あの方の半生は、盟主様方との研究と、あの方自身にかけられた疑惑を晴らせるためだけだった・・・
―――そう覚えております。
シ:・・・まあ、それは仕方のないことだよ。
あの人も―――ああいうコトがなければ、ああいった過去も存在しなかったんだろうにねぇ・・・。
〔あの場所―――シャクラディアの封印が解かれた事を、カ・ルマにいる存在は、その封印が解かれた時よりすでに知っていました。
しかも・・・シャクラディアを往時とそう変わらない状態にさせた、ゼシカ=ノーム=ヴェスティアリのことを、
彼女の母に准(なぞら)えて、それなりの評価を下していたのです。〕