≪六節;“漆黒の国”の実態≫
〔“南征”―――それは、カ・ルマの真南に位置する=列強=の一つ、ラー・ジャ・・・
そこはアヱカの家臣でもあるタケルの故国でもあったのです。
その“南征”の任に当たったのが・・・〕
ザ:(ザルエラ;この度のラー・ジャ攻略を任された七魔将)
ムフフフ―――・・・サウロン様もお目が高い、何しろ我輩に一つの国の攻略を任せてくれるのだからなぁ。
ビ:しかし―――油断は禁物だぞ、ザルエラ。
余り彼らをなめてかかると、前例がないわけではないのだからな。
ザ:ふん―――ワグナス・・・あの面汚しが!!
・・・まあ、仕方がないといえば、ないといったところか、
何しろあいつは、我ら七人の中に入れたのが不思議なくらい、実力のないヤツだったからな。
ビ:―――まあそういってやるな、彼も必死なのは必死なのだったのだからな。
〔仲間の一人がいなくなったというのに・・・でも、これが彼らの実態なのでした。
羨望―――欲望―――仲間の成功を妬み羨ましがる・・・
その逆では、失敗があったのなら哀れみは一欠片(かけら)としてなく、むしろ嘲り笑う。
それこそが彼らが“漆黒の軍団”として呼ばれる所以・・・・でもあったのです。〕