≪三節;護り抜くという事≫
〔そして訓練を一旦切り上げ、治水工事の監督をしているキリエの下に、
これからの訓練内容を、相談しようと思って向かったヒは―――・・・〕
ヒ:おう、司馬殿―――
キ:あら、ベイガン・・・どうしたの?
ヒ:いやぁ、実はさ―――・・・
――すると その時――
〜ピ☆ キィ―――ン〜
キ:(はっ――!!)
ヒ:・・・でさぁ、これからの―――
どうしたい、司馬殿・・・ぼんやりと西方の空なんか見ちまって―――
キ:・・・この方角で、襲われている―――!!
ヒ:・・・・で、あんたが出張ってやる―――ってぇのかい・・・。
キ:ごめんなさい、ベイガン―――私に相談したい事があったんだろうけど・・・
ヒ:へ・・・ッ―――行ってやれよ、どうせあんたの事だ、引き止めたって無駄なこった・・・
それに―――こういうこと・・・なんだろう。
キ:うん・・・・あとを、お願い――――(カク・・)
兵:あっ―――司馬殿、これから次の工程に移り・・・あっ?!司馬殿??
ヒ:やれやれ・・・体あんまし丈夫じゃないってのに、この炎天下で無理するからだい。
あれよ・・・貧血だ―――貧血・・・
つぅわけで、これからこの現場はオレが見てやるからな、サボったりなんかすんじゃあねぇぞう。
兵:は―――はい〜〜・・・
ヒ:(キリエさん―――無事で帰って来いよ・・・)
〔工事現場の監督官であるキリエは、他の州兵たちと同様に、鍬や隙を手に、治水工事に従事していました。
そんなところに、ヒが何がしかの相談を持ちかけた―――のと同時に、感じたあるイメージ・・・
それは、西の方角で、黒き軍団に襲われている住民たちのそれであったのです。
そして、それを感じたとき、またもキリエは あの存在 となりて、今襲われている地域の住民たちを助けるようなのですが・・・
これは、天が与え給うた“天佑”なのか・・・
その場に来ていたのは、キリエの実情を知りうる唯一の人物・・・
だからこそキリエは、安心して後事を任せられたのです。
それにヒのほうでも、この国の地域に係わらず、この人の知覚しうる範囲内で、
カ・ルマからの蹂躙を防ぐ・・・と、云う事が、誰も知らないキリエの背負うた使命―――だと判り、
本体の抜けた身体を抱きかかえるように、近くの天幕へ・・・それから、キリエの代役を務めたのです。〕