≪四節;絶・体・絶・命≫
〔――― 一方、自国の最終防衛ラインまで退いていたラー・ジャ軍は・・・〕
ノ:いいか―――! どうしてもここのラインだけは崩されてはならない!
なんとしても死守するのだ!!
チ:今こそ―――! 我らの意地と誇り・・・敵に見せる正念場ぞ!!
オオオ――――ッ!!
〔必死になって兵士を鼓舞するラー・ジャの将・・・
そのお陰でわずかばかり士気は回復したのですが・・・
しかし、それを嘲笑(あざわら)うかのように――――〕
副:フン―――フフフ・・・いくら気勢をあげたところで、所詮無駄な事よ―――!
わが主、ワグナス様の無念を晴らすと共に、お前らには恐怖というものを刻み込んでくれるわ~~―――!!
准:カ~~―――ッカッカッカ!!その通りよ・・・!
キサマら相手では、わが主が出撃するまでもないことを、思い知らせてくれようぞ!!
かかれぇ~~―――!!
チ:むうっ―――・・・敵の先陣、来ます!!
ヨ:よいか―――!! ここがわれらの踏ん張りどころぞ!!
ワァアア~~ッ!!
〔一方は、前回無念の敗死を遂げた魔将の片腕・・・またもう一方は、今回南征を任せられた魔将の片腕・・・
―――と、云ったように、その魔将の軍勢は、今や消滅した魔将の軍勢をも取り込み、
未曾有に膨れ上がっていたのです。
そんなカ・ルマ軍と対峙せねばならなくなったラー・ジャ軍・・・
もはやそこには、意地・誇りだけでは防ぎきれ様のない現実があったのですが―――・・・
すでにそこには・・・はるか上空にて、カ・ルマ軍しか見据えていない、ある存在が―――・・・
そして、突然―――! 上空から、カ・ルマの中軍めがけ、何かが投擲されてきたのです。
その何か―――こそ、“凍てつきの画戟”・・・<フローズン・ハープーン>・・・・〕
ズ・・・ ゴォオオ―――・・・
副:う・・・ぐぅおお?! こっ・・・これは―――!!
准:フ・・・フローズン・ハープーン・・・・ま、まさか―――!!?
〔自分たちが陣取る中軍に、まるで狙い済ましたかのように地面に突き立った画戟―――
それを直視して、思わずも血の気が引く二人の将・・・
しかし、そこには、すでにこの武器の持ち主は降り立っており、
あの・・・肚の底まで響くような声で、その場にいる全カ・ルマ軍兵士に向かい、『死の宣告』を下したのです。〕