<第六十二章;それぞれの事情>
≪一節;形勢逆転≫
――それは・・・彼らにしてみれば、まるで悪夢のようでした・・・――
敵:う・・・うわあぁ〜〜―――こ、こっちにきたあぁ〜〜!!
敵:お、お助けを゛〜〜〜―――!!
――それは・・・彼らにしてみれば、窮地を救ってもらった英雄でした・・・――
兵:お―――おい・・・アレを見ろ。
兵:り・・・龍だ、それも“蒼い龍”が、あいつらを狩っている・・・
ノ:ふう・・・ひとまづは、助かったな―――
チ:しかし、あの龍一体どうして―――・・・
ギ:一目見るには、あの背に跨(またが)っているように見えるのは、女性の騎士・・・のようにも見えますが。
ヨ:うぅむ・・・だが、得心が行かぬ、あたら仲間同士―――だろうに・・・。
ノ:まあ、詮索するのは後回しにしよう。
今はこのまま、一過させたほうがよさそうだからな。
それに―――それがしたちの話が通じ合えるとは思えん・・・
チ:―――そうですね、ではとりあえずは鎮守府まで引き上げる事といたしましょう。
〔その戦場での流血は、これまでにないものとなりました。
それもそのはず、フ国・ガク州でのそれは、所詮“州”という単位であったために、
そんなに目を見張るような大軍は動かさずにいられたのですが・・・
今回の戦は=列強=という、いわば“国”単位でもあったことだから、
ガク州よりも規模の大きい軍隊を出動させる必要性があったのです。
現に―――この“南征”の前哨戦ともいえるこの戦で流された血は、双方合わせて十万人分の量・・・
さらに内訳で行くと、カ・ルマ軍7万に対し、ラー・ジャ軍3万―――・・・
しかもその中には、あの二人の、魔将の片腕も含まれていたのです。
そして―――この戦での戦闘を終えた、『蒼龍の騎士』・・・キリエは―――〕
龍:>フフ・・・ラージャ側は、遍(あまね)く退いた様ね・・・
では、こちらも―――<
〔あらかたカ・ルマ軍を掃討し終えたキリエは、ラー・ジャ軍が最終防衛拠点としている“鎮守府”に退いたのを確認すると、
自身もまた―――本来、自分のいるべき場所に戻っていったのでした。〕