≪三節;再会≫

 

 

〔それはそれとして―――ウェオブリへ戻ってきたアヱカは・・・〕

 

 

ア:ただいま―――戻りました。

ホ:あっ!お姉ちゃん・・・お帰りなさい。

 

 

〔以前は―――とある官からの煽りを受け、左遷同然でカ・ルマの矢面に立たされるべくの一地方へと飛ばされた・・・

けれども、それでもアヱカは何一つ気にするでもなく、自分の矜持赴くままに州政に取り組み、

以前から懇意にされていた中央官の取り成しで、次世代を担う王子の養育係に任じられた・・・

 

しかも、この二人は、“教師と生徒”という枠組みではなく、一個人として接していたのです。〕

 

 

ア:さて、王子様―――今日は何を学びましょう・・・

ホ:それより、お姉ちゃん―――

  お姉ちゃんのお休みは、あと一日あるはずなのに・・・大丈夫なの?

 

ア:・・・ありがとうございます―――わたくし如きにそんなにまで気を使って下されて・・・

  ですが、わたくしも一日でも早く王子様にお会いしたかったものですから・・・

ホ:うん―――・・・ボクもだよ・・・。(ぽ

 

 

〔“一日でも早く―――”その言葉に、ウソ偽りはありませんでした。

 

次代を担う者に、型式や枠組みなどに嵌った知識だけではなく、“自然の摂理”という、ゴク普通で当たり前のそれ―――・・・

一般の人や官吏は、『それが当たり前の事だから』という事で軽視しがちな物事を、

アヱカはホウ王子に、重点的に教えていたのです。

 

それに、アヱカのとった形式も、狭い部屋に閉じこもって・・・ではなく、

あたら肩や肘などを張らずに出来る・・・しかも、帳面や机、消し材や筆材などを一切用いない自由な様式・・・

 

それが、アヱカ流の教育方針だったのです。

 

 

それはそれとして―――今回の教室は、この度アヱカの居住ともなった・・・〕

 

 

ア:さあ―――王子様、着きましたよ。

ホ:えっ?!あれ?? ここ―――って、確かオンボロの建物があったところだよね?

 

ア:ウフフ・・・ここはね―――物件を安くしてもらって、私が自分用の居住として使う事にしたんですよ。

 

 

〔ホウ王子が、再びこの場所に足を踏み入れて驚いた事・・・

それは―――以前までは朽ち果てた柱などが点在する、廃墟のような処・・・だったのに、

それがいつしか、もう一度ここを訪れたときには、簡素ながらも立派な建物が―――・・・

 

その説明を、ちょっとウソにはなるけれど、アヱカは説明してあげたのです。

しかし・・・幼いホウ王子には、その説明だけで十分だったのです。

 

 

そして―――そうこうしている間に・・・〕

 

〜バサッ―――             バサッ―――〜

 

ホ:あっ―――トリのお兄ちゃん?

 

ヤ:あれっ―――? やっぱ目の錯覚なんかじゃなかったなぁ・・・

ア:うん―――? なにがだい・・・

 

ヤ:いよっ―――!

  いやなに、またこの辺に来れば、あんたらに会えると思ってたんだが・・・

  ど―――なっちまったんだ?ここは・・・

 

  以前(まえ)は、狗でも寄りつかねぇ場所だったのによ―――

 

ホ:あのね?トリのお兄ちゃん―――ここは、このお姉ちゃんが、今度からおうちとして使う事にしたんだって。

ヤ:ほ〜〜―――そうかい・・・

  だがよ―――おい、小僧、“トリ”はよけ〜だろうがよ、“トリ”は・・・よッ!(ぐりぐり〜)

 

ホ:あっ―――いた・・・いたたた・・・ご、ごめんなさ〜い、トリのお兄ちゃん―――

ヤ:このヤロ〜〜―――また云いやがったなあ? お仕置きだっ―――こうしてやる!(こちょこちょ〜〜)

 

ホ:あはっ―――あははは・・・・やめ、やめて〜〜ゴメンなさい―――本当にゴメンなさい、ボクが悪かったよ〜〜!

 

――〜あっははは〜――

 

ア:(ウフフ・・・いい光景だ―――

  異種族同士が争う事もなく、こういう風に笑いあって接し合える・・・

  君も・・・そう思うだろう――――・・・)

 

 

〔無邪気にも戯れあう、黒き有翼の人と、ヒューマンの幼い子供・・・

その、心温まる光景を目の当たりにし、アヱカは誰彼に云うことなく、

まるで自分に言い聞かせるかのように―――

ただ・・・にこやかにその光景を見守っていたものでした。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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