≪五節;弔辞≫
〔かくて―――烈王が斃れた後、須らく彼の跡目を継ぐ意思を表明したヒョウの下に、
ウェオブリからは迎えの車―――『鳳廉車』が着き、
時代の王に相応しい装束に身を包んだヒョウが乗り込むと、
その車は一路ウェオブリを目指したのでした。
それと刻を同じくして―――偉大なる王の告別の儀が、
録尚書事・婀陀那の手によって執り行われていました。
それは、まさしく“時代”という女神に愛され、
その諡(おくな)―――=烈王=の名に相応しい者の生涯に幕を閉じようとする儀式でした。
しかし、弔辞を読む雄弁な者の声も、ところかしこが掠れた様にも聴こえたのには、
葬儀に列席した諸侯の涕を誘った事でしょう。
こうして“烈王”の時代は幕を閉じ―――新たなる王、ヒョウ“粛”王の時代が紡がれていく事となるのですが・・・
葬儀の終わりに姿を見せた新王を前に、婀陀那が―――・・・〕
婀:これは、ヒョウ殿―――・・・
ヒ:公主―――お久しぶりにございまする。
また、それと共に、父を送られた言葉に感謝の意を表します。
婀:いえ―――それより太傅・・・姫君とはご一緒ではなかったのでしょうか。
ヒ:姫君・・・嗚呼、アヱカさ―――アヱカという者ならば、私の別邸に来ていたが、
この私が頑(かたく)なに父の跡目を継ぐと云ったところ、愛想を尽かしたようにそこから別行動をとられてしまった。
いやはや・・・女心とは難しいものよ―――
婀:―――・・・。
〔なんとも、らしくない言葉を・・・と、婀陀那は思いはしても、
その思いは直接口にて語られる事はありませんでした。
なぜならば、婀陀那は昔からヒョウのことを知っており、
決して今のような横柄な口の利き方をする者ではなかったことをよく心得ていたのです。
ですから、余程―――余程の強い決心を前に、この大役を受けたのだと、そう感じたのです。〕