≪二節;暗く立ちこめる気≫
〔それはそうと―――お話の場面をウェオブリと戻し・・・
この国は、偉大なる“烈王”の葬儀が執り行われ、終了すると、
休むまもなく太子である“粛王”の、『次代の王戴冠の儀』が行われ、
厳正とした雰囲気の中にも、粛々と行事は行われたのです。
こうして―――次代の王に就いたヒョウは、誰しもがそう思っていたように、
前王・ショウに倣って善政を施すはず―――だったのですが・・・
“烈王”の喪が明けると、そんな思いを踏み躙(にじ)るかのような行為が目立ち始めたのです。〕
ヒ:あっ―――ははは! さぁ〜〜皆、飲めや歌えや、
私と共にこの平和な世を謳歌するのだ―――!!
〔連日連夜―――まさに休むまもなく催される大宴会・・・
しかも、やるべきことをやらずに放蕩三昧に明け暮れるので、
ついに見るに見かねた、国を憂う忠なる臣から―――〕
セ:陛下! お父上のもが明けて間もないのに、
政務を放って連日のバカ騒ぎとは何ごとでございますか。
お父上が草葉の陰で嘆いておられまするぞ―――!!
ヒ:な・・・なんだと〜〜!?
おのれ―――この私をバカ呼ばわりしおったか!
ええ〜〜い、誰ぞある、即刻こやつの首を刎ねよ!!
セ:おお―――な、なんと言うお言葉を・・・
あなた様は忠臣の諌めの言葉すら耳に入りませなんだか―――
ヒ:えぇ〜〜い!だまれだまれ―――!!
誰か、早よう首を刎ねんか!!
・・・やるやつがおらぬのならば、この私がやってやる―――!!
セ:へ・・・陛下―――
官:ああっ、セキ様危ない―――!
官:陛下、お気をお鎮め下さい!!
ヒ:は、離せ―――私をバカ呼ばわりしたこやつを、断じて赦すわけにはいかぬ!!
官:・・・さりとて、セキ様は大殿様にもよく仕えた身―――
それに、今の弁は陛下を諌めんとしたものでございますれば・・・
ヒ:・・・ならば、ヤツの官位を剥ぎ、一平民に落としてしまえ!!
〔現フ国王であるヒョウは、何かと前国王と自分を比較し、諌める言葉を煙たがりました。
そしてそれは―――官僚たちの中でも実力のある、録尚書事である者からのモノでもそうであったように・・・
しかも、一時(いっとき)はその激情に任せ、諫言をした忠臣の首を刎ねようとまでしたのです。
けれども、他の官たちからも、程なく頭を冷やすように促され、首を刎ねるまでには至らなかったものの、
その報いとして現在の忠臣の官位を剥奪し、平民に落としてしまったのです。
このやり様こそは、まさに横暴―――いえ、横暴というには、云うにあまる行為なのでした。
それに、ほとんどの官僚たちは、ヒョウの事を“病弱の君”であり、ひ弱なイメージで捉えていたのですが・・・
今のように非道傍若なやり様を見て、愕然・慄然せざるをえなかったようです。〕