≪四節;敢えて渦中に≫
〔その場所は―――元は杜にひっそりと佇むドルメンでした・・・
それが―――今は・・・人が往き交いやすいように 路(みち) が整備され、
周辺も見回すと、一本の大路を境に、街の区画らしきものが、出来上がりつつあったのです。〕
婀:(なんとも規模の大きい・・・ここがドルメンである事は知ってはいたが―――
よもやここが城塞都市―――いや、それ以前の“古都”であったとは!)
〔その場所が、古き遺構であったことは、何よりも婀陀那自身が知り得ていたことでした。
それというのも、彼女が幼少のみぎりに、よくこの場所にショウと馬の遠乗りに来たことがあった・・・
それが―――いつか自分が知りもしないうちに、この古き遺構は様変わりをし、
彼女の故国にあるアルルハイム城や、フ国のウェオブリ城にも比肩する、
大規模な城塞都市―――“古き王都”であると確信をしていたのです。
それに、婀陀那はフ国の官に、馬の遠乗りに出かけるといいました―――
それではやはり、霊験あらたかなるこの場にて、なにかの祈願をするために・・・?
いえ―――実はそうではなく、ある相談を持ちかけるために、
相談者の所在を質したところ、返ってきた答え・・・
それが―――“今はシャクラディアにて居住を構えている”・・・
そのことを最初に聞いたとき、婀陀那は耳を疑ったものでした―――
ですが、それが現実のものとなってきたとき、
彼女の頭の中にある常識を、切り離さなければならないことを感じたのです。
そして―――現在のここの主・・・アヱカと会うこととなり―――〕
ア:あっ―――婀陀那さん・・・
婀:姫君―――・・・
〔一見すると、荘厳なこの居住には、余り似つかわしくない素朴な存在(ひと)・・・
今、自分が不意に尋ねたときには、居住の周囲に生えている雑草を抜き取り、
それらを蒸し干しにして肥料を作ろうとしている・・・
そんな手間隙をかけながらも、不意に訪問をした客を出迎えたときには、上賓の礼をとっていた―――
その丁寧かつ節度ある態度は、録尚書事である婀陀那を、心の底で唸らせるに足るものだったようです。〕