≪三節;狐を燻(いぶ)りだす罠≫
〔ところ一方変わり―――こちら・・・ジュウテツに駐屯しているギャラハットとヒヅメの養父子(おやこ)は・・・〕
ヒ:お養父(とう)さん―――どうやらエルランドの砦には、守将がいなくなっているようですが・・・
ギ:ふむ―――だが、今行動を起こせば奪るのはた易いが・・・
フ・・・いかんにせよ、ワシらは率先してコトをなするべきではない―――
ヒ:はい―――・・・
〔彼ら養父子(おやこ)は、ハイネス・ブルグのエルランド砦に、その守将であるイセリアがいないことを感じていました。
でもそれは、ヒヅメ自身がその砦に潜り込み、秘かに入手してきた信憑性の高い情報でもあったのです。
その情報を基に、これから一気果敢に攻め立ててみては・・・と、するのですが―――
ヒヅメの上官でもあるギャラハットは、その逸る気持ちは判らないでもない・・・
と、養女(むすめ)のヒヅメを窘(たしな)めたのですが・・・
するとそのとき―――・・・〕
カ:いやあ―――それでは少しまづかろう。
ヒ:カインさん―――
ギ:ふむ―――しかしそれでは・・・
カ:フフ・・・確かに―――だが、乾坤の力を傾けよ・・・と、までは云ってはいない。
それに―――シホ殿からの新しい指令だ・・・
ヒ:(!!)―――今度は・・・なんと?
カ:丁度良い頃合いだから、ヴェクサンシオンの二人にはご退場願おう―――と、云うものだ・・・
ギ:“ヴェクサンシオン”・・・パロアとカデンツァにいるあの兄妹のことか!!
カ:そこで―――私は、ヒヅメ殿のその情報を逆手に取らさせてもらおうと思う。
ヒ:あの情報を―――? 一体・・・どういう風に―――
カ:フフフ・・・それはな―――?
〔同じくして、ジュウテツに顔を覗かせた者こそ、ヨウテイに駐屯していたカインなのでした。
しかも彼の内には、このたび彼らのみに発せられた極秘の指令・・・
“ヴェネフィックの兄妹暗殺”の件が秘められていたのです。
しかも―――こちら側にはあの情報・・・エルランド守将・イセリアの留守―――という、
いかにも・・・な、好餌があるわけであり―――
それを逆手にとって、カインはかの兄妹をおびき出そう・・・との策を、彼らに授けたのです。〕