≪三節;次なる犠牲者≫
〔そんなこととは露知らず―――もう一つの標的でもあるヨミは・・・〕
ヨ:ふふふふ――――さて・・・次はいかなる手であのバカどもを手玉に取ってやろうか。
〔もう既に、自分の妹を亡き者にされているということを知る由さえなかった者は、
次なるヴェクサンシオンの手順を考えていたものだったのです。
けれども、そのこと―――妹が亡くなったという事は、すぐに明るみに出てしまったわけであり・・・
そして今、ヨミの下には執行人が―――〕
カ:やあ―――ヨミ殿、少々酔いを醒ますために、これからの戦略談などを論じえんかね。
ヨ:なんだカイン―――“東(あずま)の英雄”が、私に教えを講じて欲しいと云うか。
まあ無理もない、何しろそこもとは拙攻続きで、退き戦ばかりだったのだからな。
そこを―――私は、鮮やかなる戦術の下、お前が攻めあぐねていたベルルーイを陥落(お)としているのだからな。
カ:ははは―――そこを云われると、些(いささ)か辛いものですな。
それに、私につけられた呼び名も、周囲(まわ)りの者が云って囃していただけのものなんだし〜〜・・・
ヨ:フン―――まあいい、それでお前のほうは、次はどのようにして別の砦を攻略しようと考えているんだ。
カ:ふうむ・・・そうよなぁ〜〜―――
・・・それより、ここはちと騒がしいから、静かなところに場を移さないかね。
〔残ったヴェクサンシオンの使い手の一人の元を訪れたのは、かの者がライバル視をしているカインなのでした・・・。
ヨキが今の地位に就くまでに、既に名声のあったカイン―――・・・
しかし、それは 好敵手 という意識の下ではなく、むしろ目の上のこぶ的存在のほうが強くあったものでした。
そんなカインが―――今、自分の下にその教えを講じて欲しいと云ってきている・・・?
ヨミにしてみれば、これほど恍惚なことはありませんでした。
けれど、それこそは―――刑囚が断罪台に上る階段への一段を昇ることに等しかったのです。〕